音楽にユーモアは必要か

辞書いわくユーモア(humor)とは、「面白いことを言ったり、表現したりする性質や才能」のことです。類語にウィット(wit)、ジョーク(joke)、キディング(kidding)がありますが、ウィットは「知的で面白いことを言う能力」、ジョークは「人を笑わせる話やいたずら」、キディングは「事実でないことを冗談めかして言うこと」と、ニュアンスが微妙に異なります

音楽におけるユーモアとは一体何でしょう。日本語の「面白い」には「興味深い」という意味もありますが、この場合の「面白い」は「おかしい」「滑稽な」「奇妙な」といったファニー(funny)の意です。つまり、「音楽にファニーの要素は必要か」というのが今回の命題です。

ファニーな音楽で真っ先に連想するのが、歌詞やパフォーマンスで聴衆を笑わせる「コミック・バンド」の存在です。白塗りで「地獄からやってきた悪魔だ!」と言ってのけたり、ヘヴィなサウンドで「みかん!」と連呼したり、バンドなのにメンバー全員が楽器を弾けなかったりするなどが挙げられます。



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音楽ファンの中には、これらのユーモアを受け入れられない人もいます。「音楽で遊ぶな」という理屈です。音楽自体が既にホビーで遊びの一種だと思うのですが、「混ぜるな」ということでしょうか。逆に、コミック・バンドが真面目な曲を披露すると「中途半端だ」と言う人もいます。これも「混ぜるな」ということでしょうか。

音楽にはコミック・バンドのような滑稽さが必要かと問われると、「そうとは限らない」と答えざるを得ません。しかし、ある程度の「奇妙さ」は必要だと思います。不思議、風変わり、珍しさなどのとっかかりがないと、心に残らない、平凡な音楽になってしまうでしょう。平凡が悪い、という意味ではありません。ただ、クリエイターであるなら残るものを作りたいと思うのが自然ではないでしょうか。

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