講師について
櫻井 ティモ

アイルランドにある、ニューパーク音楽大学(現ダブリンシティ大学)音楽学士コースを卒業。ドラムだけでなく、作曲、音楽理論、音楽史、教育学、ミュージックビジネスなど、幅広い分野を学ぶ。ドラムをConor Guilfoyle氏とKevin Brady氏、作曲をRonan Guilfoyle氏に師事する。作曲を含む、すべての実技科目で首席を取得。在学中からプロとして活動を始め、海外の現場で活躍する。
帰国後、島村楽器音楽教室にて講師活動を開始。週に100人を超える生徒を指導する。音楽専門学校では、ドラム・クリニックのインストラクターを担当。関西を中心に、ドラムやパーカッションのレッスンのほか、アンサンブルや作編曲の講師を務めている。
特にジャズを好み、トラッド、ビッグバンド、ビバップ、コンテンポラリーなど、あらゆるスタイルで活動している。多くのミュージシャンのライブ、セッション、レコーディングに参加。ジャズの他に、キューバン、ブラジリアン、ファンク、ロック、ポップス、ゴスペル、ヘヴィメタルなど、演奏ジャンルは多岐にわたる。
2024年、木村文乃(映画『シティーハンター』野上冴子役、映画『ファブル』佐藤洋子役)のファンミーティングにて、ドラム演奏などを担当。同氏のオフィシャルファンクラブでて、会員限定ブログの執筆に協力している。
ティモさんはこんな人! 講師インタビュー
ティモさんがドラムを始めるきっかけや、印象的なエピソードはありますでしょうか?
ティモ いろいろ理由はありますが、一番「きっかけ」と言えるのは、ビル・エヴァンスの『Portrait in Jazz』に収録されている『Blue in Green』という曲を聞いた時。ドラマーのポール・モチアンが、シンバルを優しく「しゃんしゃん」と叩いているのを聞いて「これやったら自分にもできるんちゃうか?!」と勘違いしたのが始まりでした(笑)
それで、高校入学と同時にドラムを習い始め、当時習っていた先生に「ジャズがやりたいです!」って言ったら、「じゃ『移民の歌(Led Zeppelin)』やろか」と、3年間ハードロックばかりやっていました。
「騙されてるんちゃうか……?」と思いましたが、まんまと騙されていたわけです(笑) でも、そんな経験のおかげか、ジャズだけでなく色んなジャンルに興味を持つようになりました。
「しゃんしゃん」の正体は、「ブラシ」と呼ばれる奏法であることを後で知る。なお、全然「自分にもできる曲」ではなかった。
『移民の歌』(原題は”Immigrant Song”)。とにかく足が疲れる曲。当時習っていた先生は「俺が高校生の時はこんくらいできとったけどなあ」と言っていた。ぐぬぬ。
幼少期から現在にかけて、影響を受けたアーティストやドラマーを教えてください。
ティモ 子どもの頃からジャズ、特に「ビバップ」と呼ばれる古いジャズが好きで、セロニアス・モンクやバド・パウエルなど、ジャズピアノを好んで聞いてました。
ポップスも、母の影響でカーペンターズを聞いてたり、日本のバンドだとスーパーカーをよく聞いてましたね。今思うと、ずいぶんませてるなあって思うんですけど(笑) 今挙げたアーティストは今も好きで良く聞いています。
ドラマーは、習い始めのころによくコピーしたジョン・ボーナム(Led Zeppelin)やイアン・ペイス(Deep Purple)といったハードロック系のドラマーの影響は強く残っています。ヘヴィメタルも好きで、ツインペダルの演奏でコージー・パウエルやジョーイ・ジョーディソン(Slipknot)をよくコピーしていました。
もちろんジャズドラマーからも大きな影響を受けていて、ルイ・ベルソンだったり、ケニー・クラークだったり、フランキー・ダンロップだったり、挙げればキリがないです。あえて1人だけ挙げるなら、マーヴィン “スミッティ” スミスかもしれません。テクニック面でもメンタル面でも、憧れのドラマーです。
スーパーカーを好きになったきっかけは、深夜にやっていた音楽番組。ジャズを含め、静かな曲調を好んでいたのは母の影響。「こんな大人な曲聞いている俺、大人」と背伸びをした結果、足をつった。
マーヴィンの特徴を一言で表すなら「なんでも屋」。ロックもジャズも、芸術性の高い音楽も商業性の高い音楽も、なんでも自分らしく演奏できる人。
実際にステージやレッスンなどで演奏しているとき、意識していることや大切にしていることは何でしょうか?
ティモ 技術的なことを言えば、何よりテンポキープ。そして、ダイナミクスですね。そのために、とにかく「耳」を使うように意識しています。「ドラムって両手両足使うから疲れそう」ってよく言われるんですけど、一番最初に疲れるのって耳なんですよ。それだけ酷使しているってことだと思います。
精神的なことを言えば、「自分が一番の観客」というスタンスで演奏しています。これは「演奏を楽しむ」という面もありますが、どちらかと言えば「自分が観客だったら」という客観や「自分を満足させないものは出さない」という姿勢を大事にしています。
ティモ・ドラム・レッスンの特徴とも言える「教えること」について。特に大事にしている考えがあれば教えてください。
ティモ トップページにも書いていますが、「生徒様にとって快適な空間と心地良い時間を提供すること」です。一般的に「レッスン」といえば、テクニックや練習方法といった「情報」を提供することを連想しますが、今の時代、情報は検索すればすぐに見つかりますよね。
そんな時代でもドラムレッスンがなくならないのは、情報だけでなく、ドラムレッスンの「空間」と「時間」を求めている人が多いからだと思います。
「勉強になった!」というレッスンも大切ですが、「楽しかった!」「また来たい!」と生徒様に思ってもらえるような、そんなドラムレッスンを心がけています。
ドラムに興味があるけれど、最初の一歩がなかなか踏み出せないという方も多いかと思います。そんな方に向けて、メッセージをお願いします。
ティモ 上達とは、自分の未熟さと向き合うシーンが多く、一人だとしんどいこともあると思います。ティモ・ドラム・レッスンは、そんなあなたを励まし、一緒に音楽やドラムを楽しめれば、と願っています。
あなたの音楽人生に関われることを楽しみにしております!