プリング・オフに学ぶ、悲観的投影

プリング・オフ」はギター奏法の一種で、左手の指で弦を弾いて音を出すテクニックです。似たようなテクニックに「ハンマリング・オン」がありますが、指で叩いて音を出すハンマリング・オンに対し、プリング・オフは指で弦を引っ張って音を出します。どちらも速いパッセージを弾くために必須のスキルです。ドラム奏法でいうと、ダブル・ストロークに相当するテクニックと言えます。

キリスト教会の賛美隊に入ってからはギタリストとしてコード・バッキングだけでなく、リードをとる機会が増えました。大変楽しませてもらっているのですが、ある楽曲のリフとギター・ソロでプリング・オフが出てきてしまいました。というのも、僕はプリング・オフが苦手なのです。ハンマリング・オンは打楽器的な要素があるせいか、そこまで苦にならないのですが、プリング・オフは指が痛くて長続きしません

初めてギターを触った時も左手が痛くて、特にFコードやBコードのようなバレーコードで指を痛めていました(参考『楽器の壁』)。痛みがあるのは無理なフォームで演奏していたり、無駄な力が入っていたりしている証拠です。ようするに、下手の象徴なのです。

こういった未熟さを楽しめる人もいますが、僕は怒りでストレスを感じてしまいます。さらに、その怒りを他人に投影し、「周囲から『櫻井ティモは下手だ』という評価を受けている」と思い込む節があります。多くの場合、他人は自分のこと以外に興味がありません。僕の悲観は大部分が誇張されたもので、幻想です。自覚している分まだ救いがありますが、半分くらい病気なのでは、と思っています。



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しかし、この怒りによって成長したところもあります。怒り、悲しみ、情けなさによって、僕は神様に救いを求めました。吐き気をもよおす憤りは、僕を信仰にフォーカスさせるのです。

ドラムで大抵の演奏はできるようになりました。「講師の夢も叶えたし、これ以上は上手くならなくてもいいかな」という生ぬるい考えがよぎる時もあります。プリング・オフは、そんな僕に野生を思い出させてくれます。

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