鬼は外にいなければならないのか

節分で行われる豆まきの決まり文句と言えば「鬼は外、福は内」です。この場合の「」とは厄災や病気といった負の象徴で、「」は幸福のことです。「不幸ゼロ、良いことだけ起これ」という自分本位な人間らしい考え方です。「さすがに欲張りすぎだろう」と思ったのか、地域や神社によっては「福は内」だけだったり、「福は内、鬼も内」と言っていたりしています。それはそれで欲張りな気がします。

「鬼は外」の「外」とは、「自宅の外」のことです。仮に全世帯が「鬼は外」と豆まきをした場合、鬼は屋外に留まることになります。駐車場とか、公園のベンチとか、橋の下とかに密集するのではないでしょうか。企業が豆まきをすることなんて滅多にないでしょうから、職場は鬼の棲家と化すでしょう。そうなったらおちおち外も出歩けません。買い物は全部アマゾンで済ませますし、自宅で撮った動画を配信して広告料で暮らしていくしかなくなります。はたしてそれが「福」と呼べるのでしょうか。

そもそも、たかが1年に1度大豆をまいたところで鬼が寄らなくなるかどうか怪しいところです。そんな効力があるなら大豆農家は豆まきする必要がないですし、千葉県には1人も鬼がいないことになります(参考『千葉』)。それに、鬼が人間の家に入ろうとしているかどうかも不確定です。ひょっとして、大豆業者が豆を売るために広めたデマなのでしょうか。



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そういえば子どものころ、おじいさんが「鬼は内、福は外」と間違って豆まきをしてしまい、鬼と朝までダンス・パーティをする昔話を読んだことがあります。『泣いた赤鬼』もそうですが、「鬼だからと言って邪見に扱うのは良くない」という傾向が年を追うごとに強まってきているように思えます。そのうち「福は敵だ! 追放しろ!」と逆転するのではないかと思いましたが、2000年以上前に神の子を十字架にかけているので、元に戻ってきた、が正確かもしれません。

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