狐と鶴のご馳走

イソップの寓話で、いくつかバージョンがあるみたいですが、大まかな話の流れは以下の通りです。

  1. 狐が鶴を夕食に招待する。
  2. 狐は平皿にスープを装うが、鶴のくちばしでは上手く食べられない。
  3. 後日、今度は鶴が狐を夕食に招待する。
  4. 鶴は口の細い壺に肉を入れたため、狐は上手く食べられない

このことから転じて、「きちんと相手の立場になって考えましょう」という教育的な狙いがあるようです。

バージョンによって、「実は狐はいじわるな奴で、鶴を困らせるために平皿にスープを装った」「鶴がそのオウム返しをしたことによって狐は会心し、いじわるをしなくなった」という、より教育的にするための蛇足が付け加えられているようです。

実際にこの狐のような人がいたら、おそらく平皿にスープを装った時点で誰にも構われなくなるでしょう。鶴のように「よおし、オウム返しをして狐に思い知らせてやる」みたいに干渉してくれる優しい人は極めてまれです。また、意図的に平皿を出した狐であれば大したダメージにはなりませんが、世の多くの人は自分が平皿を出していることに気が付いていないのではないでしょうか。

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そもそも鶴が、最初の平皿の時点で「食べにくいんやけど」と一言伝えれば済む話にも思えますが、相手がいじわるな狐ならば、聞く耳を持たれなかったのかもしれません。そういう狐に、現代の鶴は動画なり写真なりをとってSNSに投稿する時代です。わざわざ肉を壺に入れるあたり、この鶴はまあまあええやつやと思います。

僕が狐なら壺を割って中の肉を取り出すので、この狐もまあまあええやつなのではないでしょうか。


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