歌の伴奏でドラマーが気をつけるべき3つのこと

ボーカルは、道具を使って正確なピッチ(音程)を出している他の楽器に比べ、ピッチを安定させるのが難しい楽器です。バンドが外れた音を出せばその音に引きずられてしまいますし、発音が遅いとピッチが取りづらくなってしまいます。特にコード楽器はボーカリストのよりどころであり、歌が歌いやすいようなボイシング(和音の積み方)を、適切なタイミングで弾かなければなりません。責任重大です。

ドラマーには、コード楽器のような「歌の伴奏ならではの責任」があまりありません。たとえば、「ボーカリストが歌いやすいようにテンポ・キープする」は、対象がボーカリストでない場合でもやらなければなりません。強いて挙げるなら、以下の3点は少し気にかけた方が良いかもしれません。

◯ボーカリストは、ドラマー以上にダイナミクスの権限を持っている

バンド内において、ダイナミクス(音量の強弱)をコントロールするのはドラマーの仕事です。ドラマーの演奏によって楽曲を盛り上げたり静かにさせたりできるので、ダイナミクスを支配しているのはドラマーのように思えます。

しかし、ドラマーはダイナミクスをコントロールできる力を持っているだけで、適切なダイナミクスを決定する権限を持っているのはボーカリストなのです。ボーカリストは楽曲の中心であり、主役です。主役を活かすためにドラマーはダイナミクスをコントロールするのであって、自分のさじ加減でダイナミクスを上げ下げできるわけではありません。

まずはボーカリストに耳を傾けること。ボーカリストに合わせてダイナミクスを調節し、ボーカリストが楽曲をどう展開させたいか先読みできるようになりましょう。



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◯ボーカリストの声は、思っている以上に引力がある

他の楽器にない、ボーカルの最大の特徴は「人の声」であることです。生物の性質なのか、人の耳は人の声にとかく反応します。音量とは別に、ボーカルは「耳に入りやすい」という特性を持った楽器なのです。よく聞こえる、ということは、それだけ釣られやすいということです。

冒頭に書いた通り、ピッチに関してはボーカリストが釣られる側ですが、リズムにおいては周りの楽器の方がボーカリストに釣られやすいわけです。ボーカリストがためるようにゆっくり歌ったからといって、ドラマーがテンポを乱しては本末転倒です。かと言って、完全に無視するのも音楽的でありません。ボーカリストに寄り添いつつ、互いにカバーし合える関係を築くことが望ましいでしょう。

◯ボーカリストのために、コード楽器の邪魔をしない

繰り返しになりますが、ボーカリストにとってコード楽器はよりどころです。そのよりどころを妨害するような行為は、ボーカリストの邪魔をしているのに等しいです。過度な音量や複雑なフレーズを避けた演奏に努めるべきでしょう。ドラマーが目立たないことが最善の場合もある、ということです。

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