『4分33秒』を叩いてみた


『4分33秒』ジョン・ケージの作品で、前衛音楽の代表曲の1つです。最も有名なのはピアノによる独奏で、ピアノの鍵盤蓋を開けてから何も音を出さずに演奏姿勢を保ち、4分33秒経ってから鍵盤蓋を閉める、いわゆる「無音の音楽」です。前人未到の斬新さわかりやすさを併せ持った楽曲であり、ソロ、オーケストラなどの形式問わず、あらゆるミュージシャンによって演奏されています。

いちおう、第1楽章から第3楽章までの3部構成になっていますが、いずれの楽章もタセット(長休止)の指示があるだけです。初演では第1楽章を33秒、第2楽章を2分40秒、第3楽章を1分20秒として演奏されたそうです。ただ、人によって演奏時間が変わっていることが多く、だいたい4分33秒くらいであれば多少長くなったり短くなったりしても問題ないみたいです。

ただ、無音だけの楽曲を音楽にカテゴライズしても良いかどうかは疑問が残ります。哲学や瞑想、禅、祈りといったスピリチュアルなものに含まれることもままあります。僕個人は「パフォーマンスの一環」だと思っています。噛み砕いて言えば一発ギャグです。

今回ドラム・セットで『4分33秒』を演奏するにあたって最も苦労したのは、「テンポがいくつか」という点です。タセットなので休符であることはわかるのですが、どのくらいのテンポで、何小節休めばいいか不明だったのです。いろいろと調べたのですが、3小節だけの楽譜もあれば10段組の楽譜もあり、テンポが書かれているものは見つかりませんでした。

オフィシャルではどういった解釈をしているのかわかりませんが、僕の感覚では「とてつもなく長い1拍」という気がするので、誠に勝手ではありますが、この感覚に基づいた楽譜を作り演奏させていただきました。拍子は4分の1、3部構成なので、全部で3小節構成となっています。初演の演奏時間を参考に、第1楽章は33秒/1拍、第2楽章は2分40秒/1拍、第3楽章は1分20秒/1拍としました。また、ピアノの鍵盤蓋の代わりに「スティックを構えてからスティックを置くまで」を4分33秒としています。



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テンポは「60÷1テンポあたりの秒数」で計算できるため、第1楽章が「1.81……」、第2楽章が「0.375」、第3楽章が「0.75」となっています。第a楽章の「1.81……」は割り切れないため、「approx. (approximately……おおよそ)表記」を用いました。ちなみに、曲全体を1拍として考える(つまり、273秒/1拍)と、テンポは「0.219780……」となります。

PDFは以下のリンクへ。

『4分33秒 (Drum Chart)』

■動画『4分33秒』を叩いてみた

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