何が演奏を上達させるか

一般的に、楽器に触れている時間が長ければ楽器をコントロールする腕は上がります。毎日ネクタイをしていれば鏡がなくても綺麗に締められるように、人 には「慣れ」というものがあります。「スティックを振っていてしんどい」とか「手や足が速く動かない」といった身体的問題は、1日6時間も触っていれば2ヶ月もかからずに解決します。しかし、これはまだ「身体が動く状態」なだけです。聞いている人に「上手い」と感じさせるためには、実践が必要不可欠でしょう。

高校生のころに読んだ音楽雑誌には「ライブ(コンサート)は練習の倍上達する」と書いてありました。「真剣で人を斬った者は剣道初段の腕前」みたいな文言ですが、的を射ているのは間違いありません。僕が支持していた先生の1人は「ライブは倍、レコーディングは10倍上達する」とおっしゃっていました。数値が正確かどうかは別として、これも核心を突いています。

ライブやレコーディングにあって練習にないもの、それは「責任」です。厳密には練習にも責任があるのですが、ライブやレコーディングに比べれば微々たるものです。ライブやレコーディングには見ている人、聞いている人がいますし、場合によっては一生記録に残ります。ミスが許されないゆえに、慎重にもなるでしょう。その時、人は自分の演奏に集中できるのです。責任自体に実力を上げる要素はありませんが、責任によってもたらされる「集中力」によって演奏は上達するのです。



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つまり、いくらライブやレコーディングを重ねていたとしても、「どうでもいいや」と無責任に仕事をしているならば上達はありえません。逆を言えば、練習であっても責任感を覚えていれば上達する可能性があります。「責任」という言葉が嫌いなら「使命」でも良いでしょう。「約束」という人もいるのではないでしょうか。僕の場合は「仕事」でした。言葉は違えど、本質は同じです。

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