コンビニのカウンター前にあったチョコレートに書いてあったキャッチフレーズです。ストレスとは、怒りや恐れなどを引き起こす対象と接触した際に起こる人間の精神的、肉体的反応のことです。それを低減させるということは、つまり、怒りや恐れを引き起こす対象を排除してくれる、ということでしょうか。たとえば、「そのチョコレートを食べると、気に入らない上司が地方に左遷される」みたいな効能があるとすると、もはやテロです。たぶん、チョコレートは単なるおまけで、「商品を買う」という行為が謎の組織との契約に結びつくのでしょう。しかし、そうだとすれば「低減」というより「抹消」と言った方が正確な気がします。
あまりに空想的なので、もう少し現実味のある仮説を考えてみましょう。チョコレートを買って食べるのは購入者であり、チョコレートの影響を受けるのも購入者に留まるはずです。ならば、「チョコレートを食べた者の精神的、肉体的反応を軽減する」というのはどうでしょう。ストレスの元を潰すのではなく、ストレスに負けない身体を作るわけです。前述の例で言うと、「そのチョコレートを食べるとたちどころに昇進し、結果として上司が地方へ左遷される」ということです。これはありえない話ではありません。問題は、「いかにしてストレスに負けない身体を作るか」です。怒りや恐れを感じないなんて、もはやドラッグです。前述の謎の組織に拉致されてロボトミー手術でも受けさせられるのではないでしょうか。
真相が気になったので心理士の友人に訊ねたところ、どうやら有名なチョコレートらしく、受験シーズンになると学生がこぞって買い漁っているそうです。肝心のメカニズムについては「脳内の何とかっていう成分を発生させて、ストレスを抑える」という風なことを言っていました。僕の提唱したドラッグ説は、あながち間違いでもなかったわけです。ストレスが溜まったら食べてみようかな、と思いましたが、僕はチョコレートを食べると必ず口内炎ができる体質なので、そっちの方がストレスになりそうです。
