音楽性の違いとは

バンドが解散する理由に「音楽性の違い」という言葉がよく挙げられます。メンバーはそれぞれ「音楽性」を持っており、これがバンド内で合致しないとバンドを続けることができない、という理屈のようです。この音楽性とは、一体何でしょうか。まず、辞書で引いても「音楽性」という言葉は出てきません。「性」という言葉には「名詞の下に付いて、その性質、傾向をもっていることを表す」という意味があります。「弱酸性」は「弱い酸の性質を持っていること」であるし、「単一指向性」は「単一方向へ向かおうとする傾向を持っていること」となります。

すなわち音楽性とは、「音楽の性質、傾向を持っていること」という意味になります。重要なのは、「対象が音楽という性質、傾向を持っている、という説明」であって、「対象がどのような性質、傾向の音楽を持っているか、という説明」ではない、という点です。たとえば、前述の「弱酸性」はボディソープなどに使われる言葉で、「弱酸性ボディソープ」は「弱い酸の性質を持ったボディソープ」という説明であり、「このボディソープの弱酸性はpH(ペーハー)4.2です」という具体的な説明ではありません。ボディソープが持っている弱酸性がどのようなものか説明するためには、例のような「pH」や「肌に優しい」といった別の言葉が必要になるわけです。

上記のボディソープをミュージシャン、弱酸性を音楽性に置き換えてみましょう。ミュージシャンは音楽を演奏する人のことなので、すべからく音楽性を持っていますが、「どのような音楽性であるか」という説明をするには別の言葉が必要になってきます。「僕の音楽性はロックです」や「私の音楽性は静かで心地良いです」といった具合です。「音楽性の違い」という言葉を使う時は、どこがどう違うのか説明する必要があるわけです。



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