表現力とは

前回の記事『本当に上手いボーカリスト』で、「上手いと評されるボーカリストには表現力がある」という話をしました。「表現力」という言葉は、「思いや感情を動きや音によって表すこと」という意味の「表現」に、「力」を加えて名詞化したものです。前回列挙した、声量や音域、歌唱法といった音楽的技術の他に、姿や動きによるパフォーマンスなどによって「いかに思いや感情を表せるか」が表現力である、というわけです。つまり、「(動きの伴わない)歌が上手い」だけでは表現力が足りず、上手いボーカリストと評されないでしょう。

取り上げるのが「思いや感情」という抽象的なトピックであるため、「どのくらい思いや感情を表現できれば『表現力がある』と言えるのか」を数値化するのは至極困難です。結局、表現力に関しても「人によって異なる」という結論に至るのですが、可能な限り客観的な要素として「再現性の低さ」が挙げられるのではないでしょうか。

「再現性」は科学の実験などに用いられる言葉で、「同一の手法をとった際に得られる、測定結果のばらつき」のことです。再現性が高いと誰がやっても同じ結果を得られますが、再現性が低いと個人差が大きくなります。ある種の「オリジナリティ」と言えるでしょう。



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たとえば、「玉置浩二っぽく歌う」ことはできても、玉置浩二を再現することはできません。彼の声質や歌唱法が非常に独特で、誰がやっても「モノマネ止まり」になってしまいます。これは、彼の歌が個性的なだけでなく、高い技術の上に成り立っているからです。「マネできそうでできない」、これが再現性の低さであり、表現力の高さなのではないでしょうか。

これはボーカリストだけでなく、すべてのミュージシャンに言えることだと思います。確立した技術と表現力を求め、日々まい進してまいりませう。

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