「プロが選ぶ、本当に上手いボーカリストランキング」みたいな動画を見た友人が、「何を基準に『上手い』を決めているの？」という風なことを訊ねてきました。至極まっとうな疑問です。「上手い」は感覚的なものなので、どのように数値化しているのか気になったのでしょう。
歌の上手さを判別するポイントは、「ピッチ（音程の正確さ）」と「リズム」にあります。音域や声量、声質、歌唱技法などの要素もありますが、「ピッチやリズムが悪いのに歌が上手い」というボーカリストはまずありえません。この2点を外すと、アンサンブル内に理論的不協和をもたらしてしまうからでしょう。
しかし、正確なピッチとリズムだけを上手いボーカリストの定義とするならば、世界一上手いボーカリストは初音ミクになってしまいます（ランクインしていたら面白いな、と思って見ていましたが入っていませんでした）。つまり、ピッチとリズムは当然として、それだけでない、別の要素が上手いボーカリストにはあるわけです。
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前述したように、ピッチとリズム以外にも歌の上手さを判別するポイントは複数あります。どれに重きを置くかは人それぞれなので、結局「人によって上手さは異なる」という結論に至るのですが、動画に出ている多くのコメンテーターは「表現力」という要素を挙げていました。高ランクのボーカリストほど、「表現力が高い」と評されているのです。
友人はこれを見て「表現力って何？」と訊いてきました。実に聡明な方です。次回はこの「表現力」について考えてみたいと思います。
