良い楽器と悪い楽器の違い【後編】

前回に続き、「良い」「悪い」という感覚をなるべく数値化できるトピックで解説いたします。

○多様である

前回紹介した「希少である」はオリジナリティに注視した基準ですが、「多様である」はバラエティに注視した基準です。「ロックにもジャズにも使える」という風に、いろんなジャンルに対応できる「幅広さ」を持った楽器がこれにあたります。平たく言えば「便利な楽器」です。この場合の「幅広さ」とは、「どんなジャンルにも調和する無個性な音が出せる」という「音の特徴」の他に、「それぞれのジャンルに適した音を数種類出せる」という「機能の特徴」を含みます。

たとえば、ドラムではよく「チューニングレンジが広い」という言葉が使われますが、これは高い音域(ハイピッチ)でも低い音域(ローピッチ)でも楽器が鳴る(よく振動する)という意味で、「あらゆる音作りに対応できる」という機能を謳った文言です。このような楽器が1つあれば持ち込む器材の量も減り、管理も楽になるため、演者にとって使い勝手の「良い」楽器になるわけです。

○頑丈である

演奏中の器材トラブルほど怖いものはありません。エレキギターや電子ドラムのような電気楽器はジャックの接触不良やケーブルの断線、電池(電源)関係のアクシデントなど、あらゆる事態が想定されます。アコースティックドラムのようなシンプルな楽器でさえ、スナッピー・コードが切れたり、ストレイナーがうまく機能しなかったりするなどのトラブルがあります。これらのトラブルが引き起こされれば当然パフォーマンスは落ちますし、引き起こされなかったとしても「トラブルが起きるかもしれない」という不安は避けられないため、結果、パフォーマンスが落ちます。

このような不安を解消してくれるのが「頑丈さ」です。楽器がタフであれば、ミュージシャンは安心して演奏に臨むことができます。前回、「値段の安い楽器でも良い音がする」という話をしましたが、実は値段の安い楽器ほど「頑丈さ」に欠いている傾向があります。良い音がしたとて、いつ壊れるとも知れない楽器ではパフォーマンスに集中できないため、良い楽器とは言えない、と評価されてしまうわけです。



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〇まとめ

良い楽器とは……

希少である
多様である
頑丈である

あくまで個人的な基準ですが、これらの要素をいずれも含んでいる楽器が「良い楽器」であると定義できるでしょう。つまり、「悪い楽器」とはこの真逆、「流通過多かつ一様で壊れやすい楽器」ということです。そんな楽器、あります?

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