良い楽器と悪い楽器の違い【前編】

一般的に「良い」「悪い」とは主観的な感覚であり、基準となる絶対的な数値がありません。「金額」を引き合いに出して「値段が高ければ高いほど良い楽器である」と定義される方もいらっしゃいますが、これはあくまで目安であり、絶対的なものではありません

たとえば、お正月のバラエティ番組で数十億円のバイオリンと数百万円のバイオリンを出演者が聞き分ける企画がありますが、いつも答えが二分します。「値段が安い方が良い音がする」と感じる人がいる以上、「値段と楽器の良さは比例する」という定義は成り立ちません。

しかし現実には、大多数の人から「良い楽器だ」という評価を集めている楽器があります。これらにはどういった共通点があるのでしょうか。なるべく数値化しやすいトピックを挙げて解説してみたいと思います。

○希少である

まず、いわゆる「ビンテージ楽器」がこの要素に含まれます。前述のバイオリンがまさにこれで、今は亡き巨匠が作った作品で、再現できないことから希少価値が高いわけです。また、昔は採っても良かった(今は伐採を禁じられている)木材を使った楽器も再現できないため、希少価値が高くなります。



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楽器が希少であると、「その楽器でしか鳴らせない音」が鳴らせます。たとえば、今は伐採を禁じられている「ハカランダ」という木材がありますが、他の木材ではどう頑張っても「ハカランダっぽい音」しか出せないわけです。「ハカランダの音=良い音」というわけではありませんが、ハカランダを持っている人にしかハカランダの音は出せないため、ハカランダの音が好きな人の需要を一身に集め、相対的に人気が高まる傾向にあるわけです。

ちなみに、例に挙げた高いバイオリンやハカランダはどちらも「ビンテージ楽器」に分類されますが、ビンテージ楽器でなくとも希少な楽器は存在します。僕が使っているドラム・スティックはプレイウッドというメーカーの現行品で、値段も他社に比べて60%くらいの価格なのですが、他のメーカーにはない希少なモデルを作っています。「このモデルにしか出せない音」を鳴らしてくれるため、値段が安くても希少であれば「良い楽器」に含まれるわけです。

長くなったので、続きはまた次回に。

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