ドラムを習いたてのころにコピーして良かった曲

『移民の歌(Immigrant Song)』Led Zeppelin
『Good Times Bad Times』Led Zeppelin

高校当時、ジャズがやりたかった僕は先生に教えを乞おうとしたところ、「この時代(70年代)のドラマーはみんなジャズ叩いててん。ほなボンゾ(ツェッペリンのドラマー)やろか」とほだされ、ひたすらハードロックをコピーしていました。

先に挙げた『移民の歌』と『Good Times Bad Times』は、どちらもキックのダブルがふんだんに用いられています。特に『移民の歌』は1曲通してずっとダブルを踏み続けるので、右足強化曲として頻用しています。ペダルの試打や調整、ウォーミングアップ、サウンドチェックなど、あらゆるシーンで使えるフレーズでしょう。

ツェッペリンは他にも『天国への階段』『ロックンロール』『ブラックドッグ』など、拍子が取りにくい曲もコピーして非常に鍛えられました。今となっては感謝しかありませんが、当時は死ぬほど退屈で、仕事と思わなければやっていられませんでした

『Georgy Porgy』TOTO
『Fantasy』Earth, Wind & Fire

前に挙げたツェッペリンの楽曲同様、当時習っていた講師の勧めでコピーした曲です。どちらもテンポはゆったりですが、右手で16音符を刻みながら演奏する、いわゆる「片手16ビート」の曲です。前述の曲が「右足強化曲」なら、この2曲は「右手強化曲」と言えるでしょう。

また、この2曲はシンプルかつ特徴的な16分音符のキメがある曲です。音符と音符の「間」や音の立ち上がり、歯切れといったアーティキュレーションを体感するにはうってつけの楽曲でした。前述のボンゾもそうですが、単に体を動かすだけでなくフィーリングやグルーブといった要素も同時に学べたのは大きな財産です。



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ただ、どの曲も習い始めのころは全く叩けず、身体も動かず、ただただ疲れるだけの、端的に言って「苦行」でした。あまりにしんどかったので「先生、僕はそういう手数の多い曲は今後やる予定ないんで」と言って拒否したこともあります。その結果、手が動かない系のドラマーになったのは言うまでもありません。

『Blues March』Art Blakey and the Jazz Messangers

前項2つと違い、自分の意思でコピーした曲です。当時読んでいたドラムマガジンのインタビューでスティーブ・ジョーダンが「最初にアート・ブレイキーの『ブルース・マーチ』をコピーした」みたいなことを答えていて、ほんなら自分も挑戦してみよ、と思い立ったのがきっかけでした。

この曲の素晴らしいところは、クローズド・ロールを多用したキャッチーかつテクニカルなドラム・ソロはもちろん、バッキング(リズム・パターン)にもあります。シンプルで力強いスウィングを1曲通して叩き続けているので、ジャズの入り口としてこれほど最適なドラマーはいないでしょう。

他者から与えられた枷は、それはそれで糧となりますが、核になるのは自分で選んだものです。

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