ドラムは疲れる楽器なのか

ドラムは全身運動だから疲れそう」と言われることがあります。たしかに、腕はともかく脚を使う楽器というのはドラムと鍵盤楽器くらいだと思います。ロック・ドラマーは上半身裸で汗だくになって叩いていたり、身体を壊して首にコルセットを巻いていたりするので、「ドラム=激しい運動」というイメージがあるのかもしれません。そもそも「リズム」というもの自体、音楽的要素よりも運動的要素が強いのです(参考『リズムだけで音楽は成立するのか』)。

しかし厳密に言うと、ドラムという楽器を鳴らしているのはドラマーではありません。スティック、あるいはビーターです。スティックさえ大きく動いていれば大きな音が出せますし、ビーターが早く動いていれば細かい連打も可能になります。スティックの動きと全く同じように腕を上下させる必要はないのです。むしろ、力を抜いて、スティックやビーターの動きの邪魔にならないように腕や脚を動かさなければなりません。つまり、上達すればするほど疲れなくなる楽器なのです。この傾向は、特にジャズ・ドラムにおいて顕著に表れます。ジャズ・ドラムは大音量を必要としませんし、バウンドを最大限に生かして叩くため、「振る」というよりは「落とす」「転がす」といった動作が中心になります。「ジャズはおっさんの音楽」というイメージを持たれやすいのですが、言い換えれば「体力の落ちたおっさんでもできる音楽」ということなのです。



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強いて疲れるポイントを挙げるなら、耳が一番疲れます。これは、ドラムの音が噪音(そうおん)であることに起因します。長時間ドラムを叩く場合は耳栓が必需品になります。ただ、耳栓なしでも4時間くらいは余裕で叩き続けられるので、ウォーキングよりもずっと運動量は少ないでしょう。次に疲れるのは、だと思います。使っているうちに集中力が切れてしまうのです。しかし、ドラムは頭を使う要素が極めて少ないので、他の楽器に比べれば疲労度はないに等しいでしょう。

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