ドラマーが選ぶ好きなベーシスト

真っ先に思いついたのはチャールズ・ミンガススティングフルカワミキですが、ベース・プレイヤーとして好きというよりコンポーザー(作曲家)やボーカリストとして好きな部分が大きいので今回は外しました。しかし、ポール・マッカートニーやデイヴ・ホランドなどもそうですが、ベーシストには優れた作曲家がたくさんいます。共通して「キャッチーでありながらどこか奇妙」という印象をしばしば受けます。端的に言えば「変態」でしょうか。

純粋にベース・プレイヤーとして、初めて好きになったのはジミー・ハスリップです。まだドラムを始める前のころ、渡辺貞夫の大阪公演で初めて彼の演奏を聞いたのですが、ベース・ソロになった瞬間に空気が変わったのを素人ながら感じたのをよく覚えています。今思えば、彼のペンタトニックを中心としたメロディックなフレーズエレクトリック・ベースの音色が、ビバップばかり聞いていた僕には斬新で、聞きやすかったのでしょう。それまで「ビバップこそジャズ」というオールドスクールな考えを持っていた僕に、「フュージョンも聞いてみよう」という気にさせたきっかけを与えてくれたベーシストでもあります。

前述の通り、僕はビバップがすごく好きなのですが、ことベーシストに関しては王道を少し外れたモダンなミュージシャンを好む傾向にあります。たとえば、スコット・ラファロのバッキングの域を超えたアプローチだったり、エディ・ゴメスのおよそウッド・ベースとは思えない独特な音色だったり、いわゆる「攻めた演奏」です。エディ・ゴメスはスティーブ・ガッドとの共演が好きで名前を挙げましたが、考えてみると、どちらもビル・エヴァンス・トリオのキャリアが有名ですね。



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なぜ「攻めた演奏」に惹かれるのでしょう。元来ベースは聞こえ辛い低域を担当しており、一般的には「注意しないと聞こえないパート」です。「攻めた演奏」には派手さがあるため、聞こえやすい上に意外性があり、心(印象)に残りやすいのでしょう。ロック・ミュージシャンで言えば、フリー(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)が良い例ではないでしょうか。ちなみにロック系のベーシストではトニー・レヴィンが一番好きです。やはり、「攻めた演奏」をするベーシストの1人と言えます。

「攻めた演奏」に惹かれる理由はもう1つあって、僕が学生時代からずっとリズム隊を組んでいた相棒がとにかく前に出る「攻めたベーシスト」で、彼の演奏が(身体)に馴染んでいるのだと思います(参考『相棒』)。当時の僕は彼とは正反対の「守りの演奏」をしていたため、ある意味バランスが取れていました。もしも今共演したら、攻めに攻めるリズム隊になって周りに叱られるでしょう。まあ、それが面白いのですけれど。

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