音楽の3要素を中心に、音楽的とは何かを考察した今シリーズも今回で最終回です。メロディについて触れた【その1】、ハーモニーについて語った【その2】に続き、残すは「リズム」です。
◯リズム
かつて『リズムだけで音楽は成立するのか』で書いた通り、リズムとは「音の時間的進行の構造」のことです。音の始まりと終わり、つまり「音を出すタイミング」と「音を切るタイミング」にリズムの音楽的要素が詰め込まれています。適切なタイミングを見極めて音のオンオフを切り替えるのが音楽的である、というわけです。
「オンオフ」と言うと二極化しているように思えますが、フェードしていて境界が曖昧なケースも多々あります。また、「オンが起点でオフが終点」というイメージがつきやすく、「オンとオフの間」だけでリズムを考えがちです。音が鳴っていない「オフとオンの間」にもリズムは存在するのです。
それぞれのポジションが、それぞれのフレーズをそれぞれのトーンで演奏していますが、音と音が重なる瞬間が必ずあります。その際、同じタイミングでスイッチを入れないと音が揃わず、リズムが濁ってしまいます。いわゆる「リズムの不協和音」です。スイッチを切る時も同様です。
スイッチの種類は楽器やフレーズによって変わってきます。ドラムのようにすぐにオンオフができる楽器もあれば、サックスのようにフェード気味にオンオフする楽器もあります。重要なのは「タイミングを共有すること」です。相手のオンオフを意識し、発音を合わせるようにしましょう。この場合の「合わせる」は、同時とは限りません。相手をリードするために先行したり、相手を引き立たせるために溜めたりすることもあるでしょう。属和音のように、不協和を利用した方法と言えます。
これを機に、ご自身で「音楽的の定義」を考えてみてはいかがでしょうか。