音ゲーは演奏の役に立つのか【後編】

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前回(『音ゲーは演奏の役に立つのか【前編】』)は、「覚えが早い」「著しく耳が良い」「記憶力が良い」という音ゲー経験者の傾向を挙げた。今回はこれらの傾向の要因となった音ゲーの特徴と、演奏に与える影響について考察する。

音ゲーに限らず、ゲームの目標は「クリア」である。RPGだったらボスを倒すことだし、アクション・ゲームならゴールすることが目標になる。音ゲーの場合は「曲を最後まで演奏する」が目標になるわけだ。たとえば「太鼓の達人」の場合、画面右から流れてくるアイコンに合わせて面部分(ドン)、あるいは縁部分(カッ)を叩くのだけれど、叩く場所を間違えたり、リズムが合わなかったりするのが続くと、途中で曲が止まってしまう。クリアのためには正確にアイコンを叩かなければならないのである。

流れてくるアイコンに反応するだけなので、簡単な曲は反射神経だけでも演奏できるけれど、難易度が上がるとアイコンの数が増えるし、流れてくるスピードも上がり、反射神経だけでは追いつかなくなる。難しい曲をクリアするためには同じ曲を反復し、流れてくるアイコンを覚える必要があるのだ。「歌に合わせ、どこを弾くのか覚える」は、実際の楽器でいうところの「耳コピ」にあたる。楽器に触らずとも、耳のトレーニングは可能なのだ。

かつての音ゲーは入力の(ボタンを押す)タイミングと出力の(スピーカーから音が再生される)タイミングのギャップが大きく、出力よりも少し早めに入力する必要があった。ジャストのタイミングで入力しても「遅い」と判断されてしまうのである。これでは正確なリズム感を養うことはできない。ところが最近の音ゲーは、このギャップがほとんどなくなった。この技術的進歩によって、音ゲーは正確なリズム感を養うツールになったと言える。

もちろん、問題がないわけではない。音ゲーの入力はオンとオフだけで単純明快だが、実際の演奏は音程や強弱、音価(音の長さ)など、あらゆる要素が含まれている。実際の演奏とはまだまだ大きなギャップがあるのだ。リズム感があるからといって、良いミュージシャンになれるとは限らない。

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