焼肉は料理なのか

小学5年生のころ、学校の調理実習の授業で「班ごとにお菓子作りをする」という課題が出ました。どの班にも、お菓子作りの経験がある女子生徒がいたのですが、僕の班はなぜか、お菓子を作ったことのない男子だけが集められていたのです。

授業ですから、「ちゃんとバランスを考えて班分けするべきでは」と疑問に思いましたが、今思うと、当時の僕は、料理手芸部に所属していたので、それを当てにされていたのかもしれません。ちなみに、運動部が嫌だから文化部に入ったというだけで、僕は、料理も手芸もできません。「べっこう飴でも作るか」という案も出ましたが、「理科の授業で食べられるから」という理由で却下されました。

結局、何を作ったかというと、「焼肉」です。「デザートっぽい焼肉」とかではなく、牛肉を焼いただけの、本当にただの焼肉でした。野菜は一切焼かない、タレは市販のものを購入、ご飯はあらかじめ炊いてきたものを持ちこんで再加熱(レンジでチン)、という徹底っぷりでした。

周りは、「こんな傍若無人が許されてよいものか」と驚いていましたし、僕自身、まさか許可が下りるとは思っていませんでした。圧倒的多数が甘い香りを漂わせていても、肉の焦げる臭いとは強烈なものである、と証明した調理実習でした



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調理実習で僕たちが行なったのは、「肉を焼く行為」だけです。はたしてこれは、「料理」と呼べるのでしょうか? 国語辞書によれば、料理とは、「食材に手を加えたもの」だそうです。もし、「ただ焼く行為」が、この「手を加える」の範疇に入るならば、ほとんど同レベルの「お湯を注ぐ行為」だけのカップラーメンなども、料理のカテゴリーに入ってしまうのではないでしょうか。

よって、焼く、煮る、切るなどの他に、もう一手間あれば「手を加える」に含まれるでしょう。たとえば、「複数の調味料に一定時間漬けた後、焼く」であれば、調理人のオリジナリティも求められるため、料理になりえるのではないでしょうか。

そんな話をしていたら、妻に「じゃ卵を焼いただけの目玉焼きや、ご飯を握っただけのおにぎりは、料理じゃないのね?」と、一瞬で論破されてしまいました。ぐぬぬ。

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