天邪鬼という素直

常日頃から「自分は素直な人間だ」と感じてやまないのですが、他人の評価に耳を傾けてみると「櫻井ティモは天邪鬼だ」という声を多くいただきます。天邪鬼とは民話に出てくるいじわるな小鬼のことで、転じて「ひねくれた、素直でない性格」という意味があります。絶対的真理は「素直」なのに、客観的評価は「素直でない」と相反しているのです。はじめは「どうして誤解されてしまうのだろう」と思っていたのですが、最近は「みんなジョークのつもりで、わざとそう言っているのだ」と気がつきました。国語辞典いわく、天邪鬼には「わざと人に逆らう言動をする人」という意味もあるそうなので、僕の周りは天邪鬼ばかりということになります。

冗談はこのくらいにして(あながち冗談でもないのですが)、世間一般でいうところの素直とは「正直であるさま」よりも「従順であるさま」の意が強いです。辞書にも「素直=従順」という風な説明がなされていますが、この従順というのは「人に逆らわない」という状態、あるいは行動を表した言葉です。心の中で「こいつ腹立つ」と思っていようと、言われたことに従っていれば「素直な性格」と評価されるのです。「腹が立つので従いません」という行動は、正直であっても従順ではないため「素直じゃない性格=天邪鬼」と評価されてしまうわけです。



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音楽では、フルートのように倍音の少ない音色を「素直な音」と形容することがあります。しかし、バイオリンのように倍音の多い音色は、「深みのある音」と形容することはあっても「天邪鬼な音」と形容することはまずありません。これは、天邪鬼という言葉がネガティブであることに起因します。ただ、コード・トーンやペンタトニック・スケールを中心に作られたシンプルなフレーズを「素直」と形容するのに対し、メトリック・モジュレーションやアウトしたフレーズを「天邪鬼」と形容することがまれにあります。これは「ヤバイ」と同義で、高評価をあえてネガティブな言葉で表現したものです。つまり、天邪鬼はヤバイ

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