初めてのドラム・レッスンは英語だった

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大学時代、音楽教室で講師として働いている同級生に「自分の代わりにドラム・レッスンをやってくれないか」と頼まれたことがある。どうやら急遽演奏の仕事が入ったらしく、レッスンを休講にできないから代理の講師を探しているとのことだった。

櫻井は3つの理由で驚いた。1つは同級生程度のドラマーがドラム講師をやっていたこと(参考『プロになれると確信した瞬間』)、1つはもともと決まっていたレッスンの仕事を蹴って演奏活動を優先させたこと、もう1つは英語ができない櫻井に代理レッスンを依頼してきたことである。櫻井の大学は海外であり、代理レッスンも当然英語で行わなければならなかったのだ。

ドラマーは他にもいたし、なぜ櫻井なのかと思った。たまたま櫻井が1人目だった可能性もあるが、講師業は楽器の演奏能力よりも言葉によるコミュニケーション能力が問われる仕事である。他にも適任はいたはずだ。後から入った演奏の仕事を優先していることからも、同級生にとって講師業は二の次の仕事なのだろう。櫻井にとっては願ってもないチャンスだった。英語に自信はなかったけれど、神様が何とかしてくれると思った。

櫻井が受け持ったのは30分の個人レッスンが2枠、どちらも小学生くらいの男の子だった。課題曲が決まっていたので、スピーカーから流した音楽に合わせて演奏してもらう。口頭でアドバイスしても通じないので、自分が模範となって演奏し、まねしてもらう。満足いくレッスンになったか定かではないが、1時間のレッスンはつつがなく終わった。

現在櫻井は、「日本語でコミュニケーションできる方」に限定してレッスンをお受けしている。「英語じゃ良いパフォーマンスができないから」というわけでは全然なく、「地震や火事などの緊急時に指示が遅れる可能性があるから」である。

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