バンドが解散する理由

よく挙げられるのは「音楽性の不一致」ですが、この言葉はあまり正確でないため、理由としては不適切でしょう(参考『音楽性の違いとは』)。近い理由を挙げるなら「バンドに求められている音楽性に、メンバーが応えられなくなったから」でしょうか。バンドとはブランドであり、会社です。聴衆は、歌モノで売れたバンドには歌モノを求めますし、ロックで売れたバンドにはロックを求めます。たとえば、ミスチルがデス・メタルの楽曲ばかり売り出したら、ファンは半分に減少するでしょう。たぶん、歌詞をすべて英語にしただけでも需要は下がると思われます。ミスチルはそれくらい「歌モノバンド屋」なのです。

ミスチルは30年近く歌モノを売り出せている優秀な会社ですが、普通はこう上手くいきません。ネタがなくなりますし、クリエイターも飽きてしまうからです。売れていれば資金が増えます。すると、「もっと自由に創作したい」と会社からの独立を考え始めるメンバーが出てきます。これがボーカリストや作詞、作曲者といったバンドの重要人物になると、会社は立ち行かなくなります。結果、会社は倒産、これが「解散」のメカニズムです。

しかし、一番多い理由は中心人物の独立ではなく職場内の不和、つまり、「人間関係の不一致」でしょう。普通の会社が「上司や同僚が気に入らないから」という理由で倒産することはまずありえませんが、バンドは比較的小規模の会社であるゆえに潰れやすいのです。歴史上最も成功したバンドであるビートルズでさえ、人間関係の不一致で解散しています。バンドを長続きさせるのは、どれだけ稼げるかではなく、また、どれだけ良い音楽を作れるかでもなく、どれだけ良い関係を築けるかにかかってくるのです。



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僕が6年余り活動していたバンドを辞めた理由は「自分にバンド・ビジネスは向いていないと判断したから」ですが、「メンバーの才能を信じられなくなったから」という理由もあります。結成当初は「このメンバーだったら売れる」と信じて疑わなかったのですが、創作活動の低迷を目の当たりにして見限ってしまったのかもしれません。これは音楽性の不一致か、はたまた、人間関係の不一致でしょうか。

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