自分の音楽の好みに大きく影響した10冊の本

前回の『自分の音楽の好みに大きく影響した10本のゲーム』同様、「自分の音楽の好みに大きく影響した10冊の本」を連載していたことがあります。もともとは「ブックカバーチャレンジ」という投稿で、一緒に画像を添付するものでした。1~5冊目は音楽関係、6~10冊目はそれ以外から抜粋しています。

1冊目は『ジャズセオリーワークショップ ジャズ理論講座』です。バークリー音楽大学を卒業した友人に「バークリーへ行くなら、あらかじめ理論を勉強しておいた方が良い」とオススメされた本です。友人いわく、理論のテストをパスできれば実技に時間を割けるとのことだったので、当時社会人だった僕は数年かけてこの2巻を学びました。始めのうちは問題に対して解答が用意されているのですが、読み進めるうちに「解答例」となり、答えが不定であることに大変とまどいました。

2冊目は『Trinity College London Drum Kit Grades』です。イギリス、アイルランドではポピュラーなドラム教則本らしく、1から8までグレードがあります。各グレードに課題曲が複数用意されているのですが、7、8グレードともなるとプロでも演奏が難しいほどハイレベルな楽曲になっています。面白いのが、音源が用意されていない「ドラム・ソロの課題曲」が用意されていること。このアイディアは僕が教本を作る時に活かさせていただきました。

3冊目は『ジャズにおける作曲の理論と実践 ジャズ・コンポジション』です。大学の3回生の時、作曲のクラスで単位を落としてしまい、勉強のために現地で急いで買ったのがこの本でした(日本語訳も出版されています)。「ブルース」「リズム・チェンジ」のように、セクションごとにわかりやすく解説されています。特徴としては、たとえば「ブルース」のセクションでは「ブルースを8曲作れ」のように、「とにかく作曲させる」という点が挙げられます。訓練した甲斐あって、作曲は翌年の卒業試験で首席を取ることができました。

4冊目は『ウィルコクソン:オール・アメリカン・ドラマー』です。ドラマーが避けて通れない基本技術「ルーディメンツ」を効果的に練習できる教材です。おそらく、僕が最も長い時間をかけて練習した教材であり、大学の2年間だけで数百時間に及びます。ドラムを始めて以来ずっと悩まされてきた「手が動かない(スティックがコントロールできない)」いう問題を解決できたのは、間違いなくこの本のおかげです。

5冊目は『Progressive Steps to Syncopation for the Modern Drummer』です。通称「シンコペーション・ブック」と呼ばれる、ドラム練習の定番教材です。解説はほとんどなく、単調な音符が続いているだけなのですが、この本を用いた練習法が数多く存在します。パッド1つでできるスティック・コントロールの基礎練習から、ドラム・セットを用いた応用練習、読譜練習まで、幅広く活用できます。



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6冊目は『十二夜』です。シェイクスピアの作品は、どれも「王道の美しさ」があります。初めて読んだ時は「400年以上も前の作品であるにも関わらず、ストーリーがわかりやすく、展開がテンポ良く感じられる」と思いましたが、実際は逆で、「わかりやすい」「テンポが良い」というスタンダードそのものを作ったのがシェイクスピアなのでしょう。中でも『十二夜』は、「エンターテインメントの王道」と呼ぶのにふさわしい、キャッチーな作品です。

7冊目は『マスターキートン』です。「漫画からも1作品選ぼう」と考えた時、真っ先に思い浮かんだのがこの作品でした。浦沢直樹の作品は文字情報が多いことで有名ですが、小説ばかり読んでいた僕にとっては、かえってとっつきやすいものでした。アニメ化もされており、深夜帯だったのにも関わらず、当時小学生だった僕はリアルタイムで追いかけていました。OPが歌なし(インスト)で一部変拍子、かつアイリッシュ調だったのが印象に残っています。

8冊目は『ファミ通』です。ゲームにしか興味がなかった僕がジャズに興味をもったのは、本屋で流れていた有線がきっかけでした。このファミ通を読むために本屋へ行ったのが、僕の音楽人生の始まりだったのです。もしファミ通がなければ、もし僕がファミ通の存在を知らなかったら、僕はジャズと出会わなかったかもしれませんし、ドラムを始めることもなかったかもしれません。

9冊目は『長いお別れ』です。僕の読書人生の中で最も大きなウェイトを占めているのが「ミステリー作品」です。本格的な謎解きがある推理小説からハードボイルドな探偵小説まで、国内外含めさまざまな作品を読んできました。僕の人格形成は、ミステリー作品からの影響が大きいのです。1作品に絞るのは大変難しいのですが、「完成された1冊」で連想したのがこの本でした。変な話ですが、フィリップ・マーロウみたいなミュージシャンになるのが目標です。

10冊目は『聖書』です。この本を紹介したいがために始めたブックカバーチャレンジと言っても過言ではありません。もう十数年間、毎日読み続けている本です。もし聖書が普通の本だったら、途中で飽きてしまったでしょう。魅力があるからこそ、何度も繰り返し読んでいるのです。僕が音楽を続けている理由であり、生きている理由です。ここまでくると、単なる「本」とは呼べないかもしれません。

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