知識と感覚

知識とは、経験や言葉などによって、すでにたくわえられている情報のことです。いっぽう、感覚とは、「五感」、つまり、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚を用いて得られる情報を指します。手元にトマトがなくても、「トマトは赤い」「トマトは美味しい」と知っているのが、知識です。今、トマトを見たり食べたりして、「赤い」「美味しい」と感じるのが、感覚です。

どちらも同じ「情報」ですが、知識は、セーブされた情報です。それに対し、感覚は、リアルタイムの情報になります。過去に体験したこと、あるいは、未来に体験するであろう、という予測が、知識です。現在進行形で体験しているものは、感覚に含まれます。たとえば、自転車に乗る時、「ハンドルを切りすぎると転ぶ」「低速で走るとバランスが取りづらくなる」と知っていたり、「ハンドルをまっすぐにすれば転ばないのでは」「ある程度スピードを出せばバランスが取りやすいのでは」と予測したりするのが、知識です。実際に自転車を運転していたり、転んで痛い思いをするのが、感覚です。逆を言えば、知識で自転車を運転することはできませんし、転ぶ前や傷が完治してから痛いと感じることはできません



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また、知識には誤りがありますが、感覚は真であり、疑いようがありません。「雪は青い」という知識は、間違っていますが、青いサングラスをかけて、「雪は青い」と感じるのは、間違いになりえません。また、知識は共有しやすく、感覚は共有しにくい、という特徴があります。これは、感覚がリアルタイム限定の情報で、形に留めておくことができないからです。「カシミヤ製のマフラーは柔らかい」という知識は、言葉にすれば他者に伝えられます。しかし、実際に「どう柔らかいのか」を他者に感じさせるためには、実際に触らせるしかありません。

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