櫻井先生(塾講師編)

実は、今、友人の経営する某有名塾の講師として働いています。もちろん、僕に、一般教養はありません。「ひょっとして、僕が勉強できると勘違いしているのでは」と思いましたが、答えを見ながら丸つけをするだけの仕事なので、講師というより、採点マシーンとして雇いたかったのでしょう。教育に携わっている現場という点では、塾も音楽教室も同じです。何か面白い発見があるかもしれない、という下心で、手伝わせていただいております。

教えるのは小中学校の生徒で、科目は、国語、算数(数学)、英語の3つです。契約前に、実力テストを受けましたが、国語は「是正」が読めませんでしたし、「国民のシジを得る」が書けませんでした。算数は、計算問題を1問につき30秒くらいかけて解き、よくわからない問題は、1分くらいかけて間違えました

英語は、僕が留学経験者とあって、期待されていたようです。2問目の「(  ) (  ) a tennis player? (彼女はテニス選手ですか?)」を、「Does she a tennis player?」と答えました。決してウケを狙っているわけではなく、大真面目に答えています。担当者は、「まあ、筆記と英会話では、また違ってきますからね」と苦笑いしていらっしゃいましたが、英会話の方が酷いとは言えません

業務は、答案にひたすら丸をつけるだけです。黙って作業をしているのですが、採点中に、幼いころの自分がフラッシュ・バックします。「あの時は、ああだった」という具体的なものではなく、まるで、過去の自分がタイムスリップしてきたかのように、中身が小学生になっているような感覚に陥るのです。決して楽しいものではなく、変な緊張感があります。これは一体どういうことなのだろうと、不思議に思っていました。



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どうやら、教室内にいる他の講師の方が、「ちゃんと勉強しなさい」と指導しているのが、過去の自分の経験と重なっているようでした。自分が怒られているように感じてしまうのです。もちろん、怒っているわけではありませんし、そもそも、僕に対して言っているわけではありません。しかし、どうも居心地が悪く感じてしまいます。

この考察から、自分は、まだまだ生徒側にいるのだな、と思います。年齢も若いですし、厳しくいましめる父のような教え方ではなく、楽しく励ます兄のような教え方が向いているかもしれません。どちらの教え方が正しいか、という問題ではありません。どちらの教え方もできなければ、ビジネスとして成り立たないでしょう。子どもの目線は、いつまでも忘れたくないものです。

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