守破離

守破離(しゅはり)は、茶道や武道などにおける弟子訓練の一種です。師の教えに聞き従う「守」、身についた教えに自分なりの工夫を施す「破」、新しい型を生み出す「離」の3つの段階を踏むことで弟子の成長と自立を促す、日本古来より伝わる教育法です。

ドラム・レッスンを含む「教育」は、多くの場合「守」に重きを置かれます。「とにかく知識を授ける」「技術を身につけさせる」といった、講師から生徒に「与える」行ないこそ教育である、と思われがちです。

これが悪い方へ働くと、かつては「俺の言うことを聞け」という講師側のハラスメントに繋がりましたし、現在では「客なんだから出すもん出せ」という生徒側のハラスメントが増えています。いずれも「『守』こそが教育だ」というアンバランスが引き起こしている悲劇です。

守破離の「破離」は、講師の教えの外に関わる内容です。多くは生徒の自主性によって獲得するものですが、その自主性を促すのは他ならぬ講師の仕事です。「守」で終わらせない、「破離」に繋がるレッスンとは、一体どんなものでしょうか。



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たとえば、僕は「ドラマーを1人決めて研究する」という課題を出すことがあります。そのドラマーのフレーズやフォーム、考え方などを演奏やインタビューから学んでいくと、講師(僕)の教えとの相違点が見つかります。いちおう、生徒様が見つからなかった時に備えて講師側でも相違点を探しておきますが、原則、生徒様本人が見つけるまで待ちます

あとは、講師が教えていないことをやり始めたら褒めるようにしています。たとえそれが突飛で危なっかしい技術だったとしても、自分で見つけてきた観察力や講師の前で試す胆力を褒めれば自主性の成長へ繋がるでしょう。

いずれも講師は、生徒様が講師の外へ目を向けることを恐れてはいけません。生徒様の演奏に一片でも講師の「守」を感じられたのであれば大万歳としましょう。そして生徒は、「守」あっての「破離」であることを忘れてはいけません。飛び立つ足場がぐらぐらしていては高く飛べないからです。

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