子どもに好かれる音楽とは

教会での演奏は、日曜日の昼間で家族連れが多いこともあり、小学校の低学年と思しき方が多くいらっしゃいます。彼らを見ていて思うのは「実に素直な反応をする」ということです。いかに演者が盛り上がっていようと、興味がなければそっぽを向きますし、退屈だったらあくびをします。「やりにくい観客だ」と感じるミュージシャンもいるかもせれませんが、僕は「演奏のクオリティを映す鏡」のような存在に思えて、大変貴重だと感じています。

子どもの中にもいわゆる「空気を読む子」はいますが、素直な反応にジャンルの差はほとんどありません。たとえば、自分が生まれるよりもずっと前の昭和歌謡に感動する子もいれば、難解で大人向けと呼ばれるジャズを好んで聞いている子もいます。良いものに対して自然と、正直に良い反応を示すのが、良い意味で「子どもらしさ」を象徴しているわけです。

では、どういった演奏が子どもたちに好まれるのでしょうか。当たり前ですが、子どもも1人の人間ですし、人それぞれの好みを持っています。そのため、「これをすれば確実に喜ばれる」という必勝法はありませんが、「これをするとあくびされる」という傾向がいくつかあったので紹介します。

○暗い曲

具体的には「マイナー・キー(短調)の曲」「転調が多く、調性が曖昧な曲」が挙げられます。メジャー・キー(長調)の曲でも、テンポが遅いバラードや、ローピッチでロングトーンが中心のメロディを「暗い」と感じる子が多いようです。はじめは「なにこれ?」と興味を引くかもしれませんが、しばらく続くと飽きられます。個人的に「マイナー・キーの曲からメジャー・キーのバラードへ」という流れはシネマティックな展開で好きなのですが、子どものことを考えるのであればMCなりアコースティックなポップスなり、クッションになる曲を挟んだ方が良いかもしれません。



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○長い曲

冗長なもので子どもの興味を引き続けるのは非常に難しいことです。たとえそれが巷で人気の流行歌であっても、1曲を10分20分と引き伸ばしたり、同じ曲を2曲連続で演奏したりすれば大人でも「退屈だ」と感じるのではないでしょうか。子どもはもっと敏感ですので、アップ・テンポの曲でも5分以内に収まるように構成したり、起伏をつけたりするなどしてアレンジに工夫を凝らす必要があるでしょう。

○大音量の曲

前述した2つとは毛色が異なりますが、忌避すべきことに違いはありません。基本的に子どもの身体は繊細です。聴覚も例外ではなく、大人にとってはなんてことはない音量でも、子どもにとっては騒音に感じることがあります。当然、「うるさい」と感じた音から身を守るため、耳を塞いだり、演奏以外のことに注意を向けたりするでしょう。音色(トーン)も同様です。

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