レッスンする上で最も重要視しているポイント

楽器、国内外問わず、いろんな講師の方に訊いている質問です。前回のブログ(『「個性を潰さない」は、本当に正しいのか』)でも少し触れましたが、たいていは「個性を潰さない」「生徒様の成長を最優先に考える」といった答えが返ってきます。

講師業とは、講師が専門とする知識や技術を売る接客業です。ものを売る接客業において重要視すべきポイントは「どんな商品を売るか」です。しかし、多くの接客業がそうであるように、ほとんどの商品はインターネットで手に入る時代になりました。特に技術に関しては、講師よりもはるかに上手いプレイヤーの演奏が数多くかつ無料で配信されています。実際に生の演奏を体感できたり、比較的正確な知識を得られたりするなどのメリットはありますが、これらはコンサートや書物などで代用できてしまいます。ようするに、知識や技術だけを売っていては商いにならないのです。

そこで考えなければならないのは「レッスンすることでしか手に入らない商品を売る」ということ。これこそ講師がレッスンをする上で最も重要視すべきポイントだと僕は考えています。レッスンすることでしか手に入らない商品とは何でしょうか。ある講師は「講師業とは、自分の経験を売る職業である」と言いました。抽象的ですが、的を射ていると思います。たとえば、櫻井ティモの経験は櫻井ティモにしか販売できないですし、櫻井ティモからでしか購入できません。



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問題は、具体的にどう売るかです。それに、60を過ぎた大御所と30そこらの若造の経験値は単純計算で倍違います。「若い人に講師は務まらない」と言われているのは、この経験値の差が大きいのです。ゆえに、若い講師は経験以外にも商品を用意する必要があるでしょう。もちろん、老いても経験だけに寄らず、絶えず商品価値を模索している講師もいます。そういう人が、いわゆる「優れた講師」として世間に名を馳せるのではないでしょうか。

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