モーラー奏法は必要か

ドラムの演奏法の一種で、脱力とリバウンドを利用することで速く、大きく、長く叩き続けられるテクニックだそうです。「通常のドラム奏法とは次元が違う」みたいな説明を見たことがありますが、アニメの世界の演奏法なのでしょうか。大手検索エンジンで検索しようとすると、予測結果の一番上に「モーラー奏法 宗教」と出るくらい、一部から異端扱いされているテクニックでもあります。テクニックに問題があるというより、支持派が「海外の一流ドラマーはすべからくモーラー奏法を使っている」という、胡散臭い通販番組みたいな文言を使っているのが原因ではないでしょうか。

表題の「必要か」に対する答えですが、モーラー奏法でない一般的なドラム奏法でもある程度速く、大きく、長く叩き続けることができます。「ある程度」とは、テンポ200くらいの楽曲であったり、20名のビッグバンドに負けない音圧であったり、2時間を超えるステージだったりします。モーラー奏法を使えばテンポ400とか、40名のビッグバンドとか、4時間超のステージにも対応できるのかもしれませんが、そんな環境はまれです。スペックが高いのに越したことはありませんが、日本の道路をフォーミュラー・カーで走るようなもので、「必要か」と問われると「否」と言わざるを得ません。

軽自動車でF1レースに出られないように、海外で一流のステージに立つためには必要な技術なのかもしれません。しかし、それ以前に踏むべき段階があると思います。速く、大きく、長く叩き続けるより、耳を鍛える方がよっぽど大事です。また、「一流のステージ」という仕事を持ってくるのはモーラー奏法ではなく、人脈です。上手いだけが一流ではないのです。



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ただ、ドラム講師は「モーラー奏法って何ですか」という生徒様からの需要に備えておくべきかもしれません。実用できるほどではなくとも、人前で披露できるくらいに鍛錬し、説明できる程度に知識を持っていなければなりません。講師業を始めて4年、今のところモーラー奏法に関する問い合わせはありませんが、今後もないとは限りません。

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