ビー・ディファレント

とある著名なブルース・ギタリストがクリニックで「これからの時代、ブルース・ギタリストが成功するためにはどうすれば良いか」という質問に対し、「他人と違ったギタリストになること(Be different)」と答えていました。他に類を見ない、独自の世界を追求しなければならないのは、アーティストの命題と言えます。しかし、この「独自」という言葉は「自分らしく」「あるがままに」「自分の信じた」というような、自分主体の価値観ではありません。自分の「自」という字が入っているため勘違いしやすいのですが、「独自」とは「自分1人でいるさま」「他と違って独特であるさま」であり、自分と周囲を比べた相対的な価値観です。

たとえば、ミスターチルドレン(以下、ミスチル)の影響を受けているのが客観的に見て明らかなバンドがあったとしましょう。音色もコード進行も歌詞の内容も完全に『抱きしめたい(ミスチルの楽曲)』なのに、本人たちは「ミスチルを聞いたことがない」と言います。彼らいわく、「自分たちの音楽を追求していったらこうなった。決して真似しているわけではない」だそうです。彼らの発言が真であっても、これは独自の世界にはなり得ません。なぜなら、彼らが独特であるかどうか決めるのは彼ら自身ではなく、それを聞いている観客だからです



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自分で自分を「独特である」とコマーシャルするほど空しいことはありません。また、外に出ず、内に引きこもって独自の世界を追求するのも風を追うようなものです。「流行り物は嫌い」と言わず、少し耳を傾けてみてはいかがでしょうか。嫌いなものの中にこそ、自分らしさをアピールできるヒントが隠されているかもしれません。

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