ジャズが与えるロック・ドラムへの影響

以前、メタルバンドSlipknot(スリップノット)の元ドラマーであるジョーイ・ジョーディソンが、音楽雑誌のインタビューで「ジャズに強い影響を受けた」という旨を語っていました。メタル音楽史の歴史を変えたドラマーがジャズの影響を受けていたのは少々意外でしたが、かつてはクラシック・ロックのミュージシャンもジャズの影響を受けていた、という話も聞きます。

僕が初めてドラムを習った先生はジョン・ボーナムの大ファンで、僕が「ジャズを教えてください」と言うと「この時代(70年代)のドラマーはみんなジャズの影響を受けているから」と言ってロック・ドラムを叩かされていました(参考『櫻井ティモと7人のドラム講師』)。実際、ジョン・ボーナムがトラッドのジャズ・ドラマー、特にマックス・ローチの影響を受けているのは『モビー・ディック』の有名なドラム・ソロを見ても明らかです。

では、ロック・ドラムの技術とジャズ・ドラムの技術がお互いに親和性をもって適用しやすいかというと、そうではないと思います。たとえばロック・ドラムは歪んだギターに潰されないような「大きな音量」が求められますが、ジャズ・ドラムは生音(アコースティックな音)を潰さないための「小さな音量」が求められます。グルーブにしたって、ロック・ドラムのソリッドな縦ノリに対して、ジャズ・ドラムはうねりのある横ノリです。親和性どころか対極に位置する技術がほとんどではないでしょうか。



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ロック・ドラムに適用できるのはこういった技術ではなく、ジャズという音楽ジャンルに共通して流れる「精神」のようなものではないか、と僕は思います。精神を言語化するのは大変に難儀ですが、あえて言うなら「繰り返さないこと」でしょうか。常に新しくあること、未知を求める姿勢が、ロックの「反骨」に通じるものがあるのではないか、と思います。

ドラムを始めて、ロックもジャズも長いこと演奏してきました。ある程度の技術は身についたかもしれませんが、精神面はまだまだです。

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