なぜドラマーはドラミストになれないか

ギターを弾く人はギタリスト(guitarist)、ピアノを弾く人はピアニスト(pianist)と「楽器名+ist」の形で呼ばれるのに、ドラムを叩く人はドラミスト(drumist)ではなくドラマー(drummer)呼ばれます。「弾く」ではなく「叩く」という動作になると「ist」が使えなくなると思いきや、パーカッションを叩く人はパーカッショニスト(percussionist)ですし、 ビブラフォンを叩く人はビブラフォニスト(vibraphonist)となります。この違いは何なのでしょうか。

英和辞書いわく、「-ist」は名詞に付いて「(名詞)に巧みな人」「(名詞)を行なう人」という意味になります。いっぽう、「-er」は動詞に付く言葉で、意味は「(動詞)をする人」あるいは「(動詞)をする物」となります。たとえば、走る人はランナー(runner)、泳ぐ人はスイマー(swimmer)という風に、主にスポーツの分野で用いられます。よく調べてみると、実はドラム(drum)には「太鼓を叩く」という動詞の意味もあるのです。同様に、トランペットを演奏する人をトランペッター(trumpeter)と呼ぶのは、トランペット(trumpet)に「ラッパを吹く」という動詞の意味があるからなのです。



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「ドラマーがドラミストでないのは、ドラムという言葉に動詞の意味が含まれるため」というのはわかったのですが、当然ドラムには名詞の意味もあります。動詞が優先されているということは、名詞としてのドラムは効力が弱いということです。端的に言えば、ドラムは楽器として認められていないのです。安室奈美恵を愛好するアムラーが安室奈美恵として認められていないのと同じです。つまりドラマーとは、ドラムを愛好している人であってミュージシャンではない、とも言えます。同じことがトランペッターや哲学者(philosopher)にも当てはまってしまいますが……。

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