起承転結

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元は漢詩(チャイニーズ・ポエム)の構成法のこと。現在は、物事の順序や小説や映画などにおけるストーリーの大まかな成り立ちを、漢字4文字で表した言葉として用いられる。「起」は物事の始まり、「承」は物事の展開、「転」は物事の転回、「結」は物事の終わりを表している。たとえば、「ももたろう」の出来事を起承転結で表すと、こうなる。

起……老夫婦が桃を拾い、割ってみると中に赤子がいた(主人公の登場と舞台設定)
承……報酬により犬・猿・雉と契約し、敵地へと向かった(成長過程と目標設定)
転……味方と共に鬼を排除した(目標の達成)
結……人々に平和がもたらされた(目標達成による結果)

実際の物語も、この順序で話が進む。第3者視点で時系列を追っているため、非常にわかりやすい起承転結であるが、わかりやすいものがすべからく優れたストーリーであるとは限らない。犬視点にして「結」から物語を始め、「承」をメインに、「起」と「転」をぼかして物語を進めると、日本人ウケすると思う。

結……この平穏の時に思い出されるのは、やはり、ももたろうさんのことだった。(回想へ入る前の現状説明)
承……「きびだんごは好きかい?」彼は微笑みながら言った。「まあ、そうだね」僕は言った。「でも、ただというわけにはいかないだろう?」(回りくどい台詞)
起……自分は桃から生まれたのだ、と彼は暗喩めいたことを言った。「どういうことだい?」 僕は訊いたが、彼はそれ以上、何も答えなかった。(申し訳程度の出生描写)
転……鬼退治のことは、よく覚えていない。思い返そうとしても、どうすることもできない寂しさだけが蘇って、ただ悲しくなるばかりだった。(事実よりも優先される心理描写)

大学で書く「論文」には、起承転結は用いられない。というのも、「転」がある時点で、論理的な文章にはなりえないからだ。たとえば、「ネガティブな発言がもたらす心理的影響について」というテーマの論文を起承転結で書くと、こんな風になる。

起……当論文はネガティブな発言をした際、発言者にどのような影響を与えるか、心理実験による研究結果をまとめたものである。(趣旨説明)
承……実験は被験者○○名に対し、△△といった条件で、××回行なわれ、□□といった結果が出た。(本文)
転……しかし、これらの実験結果が必ずしも正しいとは限らない。(本文の否定。この時点で非論理的である)
結……今後も実験を続けていく必要があるだろう。(前項で本文を否定してしまっているため、まとめることができない)

あえて起承転結で表すなら、「起結承結」といったところか。「結」が2回あるのも特徴である。

若い人がストーリーを書くと、「起起転結」になりやすい。「ああやって、こうなりたいな」という願望はたくさんあるのだけれど、人生経験が浅く、中身となる部分(承)を描写できないからではないか、と思う。逆に、年配の人は「起承転承」が多い。中身を書くのは上手いのだけれど、長ったらしい上に、まとめられないのだ。余談だが、こないだ見た映画のストーリーは「承承承承」だった。物語が始まっているのかどうかもわからず、大した転回もないまま、結末らしい結末がなかったため、映画というより、ホームビデオを見ている気分だった。

そういえば、話の締めくくりで「ちゃんちゃん」という言葉が使われるけれど、あれは一体どういう意味なのだろう。それに、言葉の音程が完全4度上昇(ド→ファ)なのも気になる。といった謎を残し、この記事は終わるのであった。ちゃんちゃん。

追記

音程が完全4度上昇なのは「ドミナント・モーションでは」という指摘を頂いた。まったくその通りだと思う。

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