パフォーマンス中に考えていること

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ジャズ界の巨匠、ソニー・ロリンズいわく、「考える、演奏する、は同時にできない」らしい。ポップ界の王、マイケル・ジャクソンも、「踊る時に考えるのは最大のミス。感じることが大切」と言っている。かの有名なブルース・リーの「考えるな、感じろ」という台詞もあってか、「パフォーマンスの最中に思考するのは間違い」という風潮がある。これを否定するつもりはないけれど、本来の意図からは外れたものである、とは思う。

まず、人間は絶えず思考する生き物であり、「考えない状態」を作るのが非常に困難である。寺で何年も修行すれば常人にもできるかもしれないが、それでもパフォーマンスしながら考えない状態を保つ、というのはほぼ不可能に近い。仮のその状態を保てたとしても、他者との意思疎通ができないため、団体行動やフレキシブルな対応を求められる現場では、かえって逆効果になる。

櫻井の場合、ドラムを叩いている時は常に音楽のことを考えている。周りの音を聞いて、自分の音を聞いて、相手を見て、相手に見せて、過去を振り返り、未来を予測し、現実から目を逸らさない。どれを、どのくらい、どうするのか、考えるのを止めない。しかし、「何を」はいつも「音楽」である。この「何を」の部分がぶれている時、つまり、音楽のことを考えてなかったり、音楽以外のことを考えているとパフォーマンスが下がっている、と感じる。

この「ある一点に集中して思考すること」が彼らの言う「感じる」と同義なのではないか、と櫻井は思う。しかし、「感じる」よりもパフォーマンスを遥かに向上させるのは、「何のためにパフォーマンスをするのか」という目的・理由であると思う。このことは、ステージを降りている間、ずっと考えている。

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