もしも櫻井ティモがベーシストだったら

実は、僕はベーシストになっていた可能性があります。というのも、中学生のころにギターを始めたものの、あまりにも難しかったため、「自分でも上達できそうな簡単なポピュラー楽器はないか」と検討した際、候補に挙がったのがドラムとベースで、「弦を1本だけ押さえて8分音符を刻むだけの楽器」と思っていたのです。ギターよりもフレットが広いですが、もともと手が大きいので「普通の人よりも上達が早いのでは」という目論見もありました。結局、「身近にベーシストが複数名いる」「ギターが駄目だったのだから弦楽器は向いていない」などの理由でベースは選ばなかったのですが、もしあの時ベースを選んでいたら、どうなっていたでしょう。

まず、金銭的な問題で3年続くかどうか怪しいところです。3,000円する弦の交換を3ヶ月毎にしたとして、年間に1万2,000円の出費です。フィンガーイ―ズ、クロス、シールドなどの消耗品も多く、故障した場合の修理費や代替器も念頭に置かなければなりません。ジャズ志向なのは相変わらずなので、「エレベでジャズはやりたくない」とウッドベースを欲しがったことでしょう。

その点ドラムは、実にお金のかからない楽器です。楽器はスタジオに常設してあるため、メンテナンスの必要はありません。消耗品は1,000円前後のスティックくらいで、頻繁に買うものではありません。「ジャズがやりたい」と思って買ったブラシも5,000円くらいでした。自分のスネアとペダルは合わせて5、6万円ほどしましたが、故障もなく10年以上使っています。



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また、人間関係は大きく変わっていたことでしょう。高校時代に組んだバンドは、当初ツイン・ボーカルの予定でしたが、ベーシストがいなかったため、ボーカルの片割れがやむなくベースを始めた、という経緯があります。ドラマーは余るほどいたので、僕がベーシストだったら当初の予定通り、ツイン・ボーカルでエグザイルみたいな曲をやっていたかもしれません。

最大の影響は、教会の賛美隊に誘われないことでしょう。ドラマーがいなかったから僕に声がかかったわけで、もしもベーシストだったら賛美隊と関わることはなかったと思います。それはつまり、クリスチャンになることはなかった、ということです。そう考えると、「たかが楽器」とは思えないから不思議です。単なる楽器とはいえ、ドラム1つで僕の人生は大きく変わっているのです。ミュージシャンの人はぜひ、違う楽器を選んだ人生を想像してみてはいかがでしょうか。今弾いている楽器が、自分にとってどれほどの存在になっているか、思い知ることでしょう。

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