3拍子とは、1小節が3拍で構成されたリズムのことです。ポピュラー音楽の大半が4拍子で構成されているせいか、「3拍子は変拍子」と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。厳密に言うと、3拍子は単純拍子といい、変拍子には含まれません。慣れないうちは、「1拍足りない!」という感覚がして、不自由に思うかもしれません。しかし、実のところ、3拍子は非常に自由度の高い拍子です。
たとえば、8分音符や3連符を使えば、複合拍子すべて(6、9、12拍子)に解釈できます。また、付点4分音符と付点8分音符を使えば、他の単純拍子(2、4拍子)も網羅できます。
このように、本来の拍子(この場合、3拍子)上で、異なる拍子のリズムを演奏するテクニックを、メトリック・モジュレーションといいます。「実際のテンポや拍子は変わっていないのに、変わっている風に聞こえる」というのがポイントです。
まずは、ロック・パターンで実践してみます。3拍子、6拍子、9拍子の順に、それぞれ8小節ずつ演奏してみました。
続いて、ジャズのスウィング・パターンです。3拍子、6拍子(ダブル・タイム・フィール)、2拍子、4拍子のパターンを演奏してみました。わかりやすいように、各拍子の前に3拍子を挟んで演奏しています(3、6、3、2、3、4、3拍子の順)。
ラテンのパターンでも適用できます。3拍子のボサ・ノヴァのパターンを6拍子(ダブル・タイム・フィール)で演奏すると、サンバっぽく聞こえます。譜面は2分の3拍子で書いてありますが、4分の3拍子でも扱えます。
最後に、キューバのパターンです。アフロのパターンを6拍子、3-2ルンバのパターンを9拍子(9クラーベ)で演奏してみました。3-2ルンバのパターンは、譜面にするとややこしいですが、右手でカスカラ、左手でクラーベを叩き、右足でベンベ、左足で9拍子(2-2-2-3)のリズムを踏んでいます。
動画は4本に分けていますが、実際は、分け隔てなく演奏できます。たとえば、4分の3拍子のスウィング曲中に、ロックやサンバのパターンを演奏することも可能です。