テンポ180の壁

ロックやポップスでテンポ180というと、かなり速い楽曲です。ドラムで8ビートを叩こうとしても2小節もちませんし、16分音符の連打はどうやっても腕がついてきません。「どんだけ筋肉つければ良いんだよ」と力任せに叩いても動かないものは動きませんし、上手い人のフォームはどこにも力が入っていないように見えます。それを真似て軽く叩くと、今度は楽器が全然鳴りませんし、腕もやっぱり動きません。「テンポ170は頑張れば何とかなりそうだけれど、テンポ180は手の施しようがない」という人も多いと思います。

僕自身、テンポ180の壁を越えられないドラマーの1人です。昔ドラムマガジンで「16分音符のシングル・ストロークをテンポ180で5分続けられたらプロになれる」みたいな記事を読んだことがあるのですが、いまだに1分もちません。ひょっとしたら「プロになる方がよっぽど簡単」というジョークだったのかもしれません。1分も続けられればプロの素質は十分にあるでしょう。ただ、「ちゃんとした16分音符を叩き続ける」というのが条件になります。闇雲に1分動かしているのは単なる運動であって、演奏ではありません。この辺の自覚を持てるかどうかがプロとの境目になるでしょう。



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レッスンでも「どうすれば速く叩けるか」と訊かれることがあります。器用な生徒様は講師に訊ねるまでもなく速く叩けるので、こういった質問をするのは僕に似て不器用な生徒様であることが多いです。中には「今すぐにテンポ180で叩ける方法」を求めている人もいます。心中お察ししますが、不器用な人間に楽な道はありません。楽な道とは、才能ある者だけが選べる特権です。亀は歩き続ける以外に勝つ術がないのです(参考『「楽な道はない」という錯覚』)。

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