聞かず嫌いを克服する方法


どうしても好きになれない、苦手な音楽があったとしましょう。普通の人でしたら聞かなければ良い話ですが、ミュージシャンはそうもいきません。ありとあらゆるジャンルを学ばなければ経験値は上がりませんし、仕事の幅も広がりません。最近の音楽ばかり聞いている人はルーツとなった音楽を聞くべきですし、昔の音楽ばかり聞いている人は今の音楽がどう発展しているのか知る必要があるでしょう。聞かず嫌いは、ミュージシャンの未熟さを表しているのです。たとえそれが特定のアーティストに限定したものであっても、忌避している音楽があるのは幼さの証拠です。

ミュージシャンの成長のために、今回は聞かず嫌いを治す方法を挙げます。まず、大まかに分けて「苦手を克服する」「好き嫌い以外の理由を付け加える」の2つの対処法があります。前者は自分の価値観を変えますが、後者は自分の価値観を変えずに聞かず嫌いを改善できます。今から挙げる5つの方法の内、前半3つが価値観を変えるやり方で、後半2つが価値観を変えないやり方となっています。最終的に聞かず嫌いを治せるかどうかは本人の行動次第ですが、多少のきっかけになれれば幸いです。

【苦手を克服する方法】

○比較的受け入れやすいものを選ぶ

聞かず嫌いになってしまう人のほとんどは、そのアーティスト(ジャンル)の楽曲を数曲聞いただけで「苦手だ」と判断しています。1曲どころか、サビの1フレーズだけで「この音楽は駄目だ」と判断している人もいます。たまたま耳にした楽曲が好みに合わなかっただけで、他の楽曲が気にいる可能性は大いにあり得ます。まずは最も著名な楽曲を聞いてみましょう。ベスト・アルバムを聞くのも良いですし、動画配信サイトで検索して一番再生回数の多いものを聞くのも良いでしょう。アーティストでしたら、デビュー曲に魅力が詰まっていることもあります。逆に、あまり有名でない楽曲が気に入ることもあるかもしれません。ちょっとでも自分のアンテナに引っかかる楽曲を繰り返し聞いて、なぜその楽曲が気に入ったかを分析します。それから苦手だった曲を改めて聞くと、「好きになれないポイントはあるけれど、良いポイントもある」と冷静になれるはずです。この冷静さこそ成長です

○演奏してみる、または、聞くに徹してみる

聞くのは嫌いだけれど、弾いてみると好き」という楽曲は多くあります。ただ何となく耳にしているだけだと、メロディに注目しやすくなります。一聴しただけで苦手と判断してしまうのは、このメロディに原因がある場合が多いのです。そこで、フォーカスするポイントを自分の楽器に当ててみましょう。軽く聞いていただけではわからなかった、コード進行リズム・パターンが聞こえてくるはずです。それを自分で演奏してみると、また違った楽しさを発見できるかもしれません。逆に、演奏から入って「この楽曲は嫌い」と感じてしまうこともあります。特に難しい楽曲になると「難しい」と「苦手」をイコールで繋いでしまい、「難しい楽曲は聞くのも苦手」と錯覚してしまうことがあります。この場合は、聞くのに徹する、あるいは、別の楽器でアプローチするのが良いでしょう。他の楽器のスキルも上がりますし、一石二鳥です。

○アーティスト(ジャンル)自体を好きになる

視点を変えて、その楽曲を演奏しているアーティストやジャンルの歴史を調べてみましょう。どういったバックグラウンドでデビューしたのか、どういった背景で作曲したのか、歌詞にはどんな意味があるのかなど、音情報以外の情報を集めるわけです。生い立ちに共感することもあるかもしれませんし、隠された意図に感動することもあるかもしれません。アーティスト自体を好きになる強みは、たとえ楽曲が1つ気に入らなくても「別の曲を聴いてみよう」と、能動的にさせることです。アーティストが気に入れば、そのアーティストが関わっているものへの興味は失われません。ただ、アーティストが不祥事を起こすなどして幻滅する恐れもあります。その点、ジャンルはリスナーを裏切りません。しかし、裏を返せばそれだけ固執しやすいということでもあるので、注意が必要です。



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【理由を付け加える方法】

○仕事と思って我慢する

精神論です。しかし、学生時代には誰もが「勉強だから仕方ない」と授業に出たり、宿題をしたりしていたはずです。苦手なものを我慢する能力が人間には備わっています。その我慢を助力させる理由を考えれば良いのです。実際にミュージシャン業でお金を貰っていれば「仕事だから」という意識を持ちやすいですし、たとえお金を貰っていなくても「今怠けてしまったら痛い目を見る」という風に、将来を見据えることはできます。未来の自分のために我慢するわけです。
もし「我慢しなければならないのはわかっているけれど、それを上回ってこのアーティストが嫌い」というのであれば、それが今の自分の限界なのです。我慢はいつでもできるので、器が大きくなってから再挑戦するのも1つの手でしょう。ただし、周りに遅れをとってしまうのは否めません。

○その音楽を否定するための材料にする

逆説的な手法です。聞かず嫌いを克服するのではなく、なぜその音楽が嫌いなのかを追求していきます。「肌に合わない」「生理的に受け付けない」といった曖昧な理由ではなく、「全曲中、卑猥な表現を含むものが80パーセント以上」「売上トップ10の楽曲すべてが、ピッチの不安定なハイトーンでサビを歌っている」など、他人に説明して納得させるくらい具体的な原因を見つけていきます。
気をつけなければいけないのは、「否定できるポイントを見つけたとしても、実際に他人に説明する必要はない」ということです。最終的に自分の糧になってさえいれば良いのですから、争う理由がないですし、共感を求めるのもおかしいでしょう。自分の中だけで完結できないなら、この手法を取るべきではありません

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