
〇その1
僕が幼稚園のころ、園内の片隅にぽつんと建てられたすべり台が妻でした。僕が「君は園内でもトップクラスの人気者で羨ましい」と言うと、「いやみか?」と怪訝な顔をされたことをよく覚えてみます。彼女にとっては、図体の大きい僕が羨ましかったのかもしれません。仕方ありません。だって、僕は「幼稚園」なのですもの。
〇その2
僕が小学生のころ、押し入れに住んでいたのが妻でした。ずっと甘いものを食べています。糖尿になりそうですが、「ロボットだから心配ない」とのことでした。僕がお腹を触ろうとすると機械音を立てて威嚇します。ポケットでもついているのでしょうか。
〇その3
僕が中学生になって、通学中に交差点でぶつかった女子生徒が妻でした。彼女はけがの患部を携帯で冷静に写メると、「何かあった時のために名前と連絡先を教えてください」と言い、その足で病院へ向かいました。なんて気丈な人だろう、と感心しましたが、骨が折れていたそうです。
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〇その4
僕が高校に入って吹奏楽部に入ると、サックスの楽器ケースに入っていたのが妻でした。部長でした。サックスのことはよくわかりませんが、いつも主旋律を担当していたので、相当に優秀だったのでしょう。サックスの方が全長が長いので、イスに立って演奏している姿もキュートでした。
〇その5
僕が大学に入り、サークルの飲み会でウイスキーをあおっていたのが妻でした。チェイサーが焼酎でした。僕はお酒が弱く、よく彼女に介抱されていました。今でも時々「あの時のティモさんは可愛かった」と馬鹿にしてきますが、自業自得でしょう。