初めての練習パッドは自分の太ももだった

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楽器の練習をするためには、楽器が必要である。ほうきでギターの練習はできないし、フエラムネではトランペットの代用にはならない。当たり前のように思えるかもしれないけれど、ドラムの場合、これが非常に難しい。特に自宅で練習する場合、楽器自体が巨大であり、かつ音量も巨大であるため、平均的な住宅環境ではまず設置できない。では、ドラマーはどうやって自宅で練習しているかと言うと、ゴムやメッシュ素材でできた「練習パッド」をドラムに模して叩いているのだ。ドラム・メーカーが作った専門的なものもあるけれど、枕や分厚い漫画雑誌を使っているドラマーも多い。こうして比べてみると、ホウキやフエラムネと大して変わらない発想のように思える。

タイトルの通り、櫻井にとって初めての練習パッドは自分の太ももだった。練習パッドが買えなかった、というわけではない。漫画雑誌を買う習慣はなかったとはいえ、似たような本はいくらでもあった。さらに、ゴム・パッドでできたドラムの音ゲー(音楽ゲーム)専用のコントローラも持っていたのだ。それにも関わらず自分の太ももを叩いていたのは、それが最も消音・防振に優れていたからである。集合住宅に住んでいたこともあって、雑誌やゴム・パッドでは近所迷惑になると判断された(母による決定である)。枕は太ももと同等の消音・防振であるが、「枕カバーが破ける恐れがある」「汚れる」という理由により却下された(母による決定である)。

実はこの太ももパッド、消音・防振以外にも優れた効果がある。まず、正確に太もも部分を狙わないと骨(特に膝部分)に当たるため、打面を狙って叩く練習になる。つぎに、太もも部分は非弾力材質であり、スティックで叩いてもほとんどバウンドしないため、手首のコントロールにはうってつけである。さらに、音の強弱や粒立ちを直接身体に入力することで、よりリアルなフィーリングを体験することができる。

そういえば高校入学前、ドラムの先生に夏のレッスンを受けた際も「振動が太ももの裏まで響くようにして叩く」と言われ、太ももをスティックで叩かれた。当時の櫻井はその感覚を掴むために、自分の太ももを力任せに叩いてアザを作ったものである。言うまでもないけれど、太ももを叩いてもドラムは上手くならない。くれぐれも真似しないように。

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