会いたくて震える原理

某有名恋愛ソングの1節らしいのですが、僕は聞いたことがないため、どんなメロディなのか想像もつきません。歌詞を見る限り「会いたくて会いたくて震える」と、「会いたくて」を2回繰り返しているので、「16分音符を5-5-4で割ったフレーズと考えれば7/8拍子だな」と思いました。ちなみに、続く「君想う~」のフレーズも同じように割れます。とうとう変拍子の恋愛ソングを歌いだすような、ひねくれた性格の女子が出てきたのでしょうか。aikoを歌って女子力アピールする時代は終わったのかもしれません(aikoにも変拍子の曲はありますが)。

さて、この曲は「」「」「あの子」の3人が登場しますが、物語は「私」の1人称によって進行します。よって、「会いたい」と切望しているのは「私」であることは間違いありません。会いたい相手が「君」であることも、他の歌詞を見れば明らかです。具体的な性別は書かれていませんが、歌い手が女性であるため、「私」と「あの子」が女性、「君」が男性と考えるのが適当でしょう。問題は、「震える」という言葉です。そもそも「震える」とは、「物がこまかくゆれ動く、振動する」「恐怖、寒さ、緊張などのために身体がこまかく動く」と国語辞書で定義してあるとおり、振動するものが「物質」に限定されます。「感情が高ぶっている様子」という意味で「心が震える」という言葉が使われることがありますが、これは誤用で、「恐ろしさのあまりが震える」や「怒りでが震える」が正しい使い方になります。つまり、「私」の身体、あるいは私の所有している何かが実際に振動していなければなりません。しかも、無意味に振動しているわけではなく、「会いたい」という感情によって、必然的に震えてしまっているのです。

状況を整理しましょう。まず、「記念日を2人で過ごしていた可能性がありました」「複数回にわたり、愛していると発言していました」などから、「私」と「君」は過去、恋愛関係にあったことがわかります。そして「貴殿の幸福は到底願えません」「『あの子』である必要があるのですか」などから、現在「私」と「君」は破局、「君」は「あの子と」恋愛関係にあることがうかがえます。さらに、「貴殿以外に選択肢はありません」「抱擁と、うるさくない程度のボリュームで名指しすることを再度要求します」などから、「私」は「君」との復縁を所望している、と察せます。復縁するくらいなら初めから別れなければいいのに、という気持ちもありますが、「君」から一方的に別れを切り出されたという可能性も否めません。

以上のデータを元に、「私」の何が震えているか考察します。この「私」は、「貴殿は我の所有物であった」「貴殿に関する知識について、我の右に出る者なし」と言い切るほどふてこい態度をとっているばかりか、「Baby I know」など、途中で英語を使ってくるほど心理的余裕があります。とてもじゃないですが、「会いたい、という思いが感情を高ぶらせ、身体を震わせた」とは思えません。ゆえに、「『私』が『君』との復縁のためにすべき必要な工程(行動)で、震えざるを得ないもの」と考えるのが自然です。真っ先に思い浮かぶのは、携帯電話やスマートフォンのバイブレーションでしょうか。



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ところがよく見てみると、「私」は「我は貴殿を慕う言辞を申すことができませぬ」と、「君」に対してアクションを起こしていないことがわかります。それに、携帯電話が震えるのは送信時ではなく受信時です。そこで、「『私』と『あの子』は面識があり、『君』と別れるよう直談判していた」という可能性が考えられます。「君」と別れろ、という内容のメッセージを「あの子」に送信していたとなると、「あの子」から何らかのリアクションがあってもおかしくありません。この考察が真だった場合、「会いたくて震える」を正確に表現すると、こうなります。

「君」に会いたくて、でも彼女がいると気まずいから「あの子」に別れるようラインしたら反応がすごくてスマホが震える。

変拍子系女子には気をつけましょう。

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