ラット1つを商売道具にして得られる仕事について

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「ラット(RAT) 」とはプロコというメーカーの製品であり、主にギターの演奏で用いられるエフェクターのこと。ギターとアンプの間に設置することで歪んだ音を作り出せる「歪み系エフェクター」であり、その中でも歪みの量が多い「ディストーション」に分類される。ゲイン(ラットでは「DISTORTION」)とボリュームのつまみで歪みと音量を調節するのは他のディストーションと同じだけれど、右に回すほど高域をカットする「フィルター」というつまみがある(『トーン』=右に回すほど高域を上げるつまみの方が一般的)。値段も1万円前後で、初心者からプロフェッショナルまで愛用している定番エフェクターとして有名だ。

さて、某有名アーティストの楽曲の一説に、「ラット1つを商売道具にしている」というものがある。プロコの社員の歌かな、と思いきや、ギタリストの歌である。察するに、「ラット以外のエフェクターを使わずに演奏活動しています」という意味だろう。参考までに、プロのギタリストがどんなエフェクターを使っているか紹介した本を読んだところ、70人以上のギタリストが10個ないし20個はエフェクターを設置していることがわかった。しかも、1つ2、3万するような高価なエフェクターなので、およそ60万円分の機材を足元に置いていることになる。シールドや電源を合わせたら相当な額になるのでは。

ラット1つでできる商売は何か。まず思いつくのは、ジャズなどの「ラットすら使わない音楽で攻める」という手。どうしてもラットを使わなければならない、という謎の条件があったとしても、アンプのリバーブやコーラスを上手く使ってジョンスコっぽいアプローチをすることは可能だろう。もちろん、「歪みしか使わない音楽で攻める」こともできる。粗雑な歪み方がラットの持ち味であるけれど、フィルターとゲインを少なめにかければクランチ・サウンドも出せるし、多めにかければファズっぽい音にもなる。不器用なのに意外と八方美人なのだ。

1番安定しているのは「ラットのプロモーターになる」だろう。ラットを使いこなす技術を、演奏ではなく宣伝に用いるわけだ。エンドーサーになってもいいし、それこそプロコの社員になってもいい。ただ、プロコの社員の場合は営業がメインの業務になるから「ラット1つ」と言うにはいささか難があるかもしれない。「ラットと接客態度と商品知識を商売道具にして」なんて歌ったら、グレッチで殴られそうで恐い。

しかし、いずれの場合も稼げる額には限度がある。人気のあるモデルなので、コアなファンに気に入られれば需要はなくならないだろうけれど、ニーズがコアであるが故に、大きな収入が見込めない。ラットを使いつつ、他のエフェクターなり何なり、手を広げていく必要があるだろう。同じ歪み系のエフェクターでも仕事量は単純計算で2倍に増えるし、空間系・フィルター系のエフェクターならそれ以上に広がる。御茶ノ水で19万も持っていない、なんて状況ならないはずだ。

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