オープンハンド奏法のメリット、デメリット【後編】

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前回(オープンハンド奏法のメリット、デメリット【前編】)では、オープンハンド奏法の概要と、そのメリットについて書いた。今回はその続きで、オープンハンド奏法のデメリットについて述べる。

◯タムが演奏しづらい

たとえば、16分音符の連打をスネア、ハイ・タム、ロー・タム、フロア・タムの順に4つずつ叩いたとする。スネアから時計回りに叩くのだけど、このフレーズを左利きの手順で叩くと、ハイ・タムからロー・タムへの移動で腕が交差してしまう。

このようなシンプルなフレーズですら難易度が上がってしまうため、タムを使ったフィル・インは右利きの手順で叩くのが普通だ。すると、オープンハンド奏法は「パターンは左利き、フィル・インは右利き」という二刀流を強いられることになる。

◯チップでハイハットが叩きにくい

ハイハットは普通、両手を交差させて叩くことを前提に高くセッティングされている。また、ライドやクラッシュと違い、ハイハットはほぼ水平にしかセッティングできないし、左足で開き具合をコントロールしなければならないため、距離が近くなる。すると、チップ(スティックの先端)を使って演奏する際に左腕が窮屈になったり、肘が大きく開いて安定しなかったりすることがたびたび起こる。

慣れればオープンハンド奏法でも楽にハイハットが叩けるようになるけれど、初心者の人がいきなりオープンハンド奏法を使うのはいささかハードルが高い。「ハイハットをスネアと同じくらいの高さにセッティングする」という対処法もあるけれど、「このセッティングじゃなきゃ叩けない」という事態になりかねないので、あまりオススメはできない。

◯いわゆる「16ビート」が叩きにくい

ディープ・パープルの「Smoke On the Water」などで有名な、両手でハイハットを刻むリズム・パターンである(参考「『SMELLS LIKE TEEN SPIRIT』と『Smoke on the Water』で見る、コピーしやすい楽曲の特徴について」)。2、4拍目はスネアでバックビートを叩くので利き手が移動することになるのだけれど、これを左利きの手順で叩くとスネアを叩く時に両手が交差してしまう。

これを解消するためには「サイド・スネアをハイハットの左隣にセッティングする」「リモート・ハイハットをドラム・セットの右側にセッティングする」といった器材の力が必要になる。つまり、「この器材がないと演奏できない」だ。

◯ライド・シンバルはセッティングを変えるか、右手を使わなければならない

ライド・シンバルはハイハットと同じく、リズム・パターンの要となる楽器である(参考「ライド・シンバル」)。このシンバルはドラム・セットの右側にセッティングされるのが普通で、オープンハンド奏法では非常に叩きにくい。


■左手だとライド・シンバルが叩きにくい

そのため、ライド・シンバルでオープンハンド奏法を使うには、ライド・シンバルをハイハット側に移動する必要がある。やはりこれも「このセッティングじゃなきゃ叩けない」だ。

「ライド・シンバルのパターンだけ右利きで叩く」という対処法もある。つまり、「ハイハットを使ったリズム・パターンだけオープンハンド奏法を使い、ライド・シンバル、16ビート、フィル・インは右利きで叩く」というわけだ。そこまでしてオープンハンド奏法にこだわる理由なんてあるのだろうか。

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