出る杭が打たれる時

学生時代、知り合いに「なんのためにドラムをやっているの?」と訊かれたことがあります。僕は「ドラムを仕事にするため」、つまり、「プロのミュージシャンになりたいから」という旨の返答をしましたが、「本当にプロになれると思っているの?」と笑われたことをよく覚えています。ひょっとしたら、今プロのミュージシャンとして活動している人は誰もが似たような経験しているのではないでしょうか。

『13歳のハローワーク』の人気職業ランキングによると、ミュージシャンは90位だそうです(2021年11月現在。参照『13歳のハローワーク公式サイト 人気職業ランキング』※別リンク)。これは傭兵(87位)よりも低く、アメリカ軍兵士(94位)とほとんど変わらない順位です。歌手は36位と相変わらず高い数値をキープしていますが、次点でPA(40位)、作曲家(66位)と続いているのを見ると、楽器演奏は「趣味の世界」のものであり、「仕事にするものではない」と認識されているのかもしれません。

目指している本人は至極真面目でも、世間的に「ミュージシャンを目指す」は上記の理由により、ふざけていると思われがちです。夢追い人を揶揄した「ワナビー」という言葉が流行るくらい、ミュージシャンを目指す人たちにとって「世相」は冷たく、分厚く高い壁なのです。ミュージシャンを志すにあたり、出る杭は必ず打たれるものと覚悟しておかなければならないでしょう。



★オススメ ライブ




僕も例にもれず、杭を打たれ続けてきたミュージシャンでした。最初にドラムを習い始めた高校の3年間は特に打たれ続けており、今振り返ってみても「あの頃はよく辞めずに続けられたな」と思います。当時は実力もなく、自分の不器用さに絶望していた時期だったので、「プロになれるわけないじゃん」と言われても、落ち込むしかなかったのです。

僕が幸いだったのは、出る杭が打たれる時、すぐそばに励ましてくれる仲間がいたことです。彼らの存在がなければ僕はいとも簡単に潰れていたでしょうし、ミュージシャンになる夢も叶えられなかったでしょう。こういった環境に身を置くことこそ、夢を叶えるために必要なことかもしれません。そして、僕がドラム・レッスンで最も大切にしているポイントでもあります。環境は、情報よりも重要です

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


上部へスクロール