『論語』や『孟子』、『大学』と並ぶ、大陸の書物『四書』の1つ『中庸』に登場する四字熟語です。人間の代表的な感情「喜び」「怒り」「哀しみ」「楽しみ」の4つを並べて「感情そのもの」を表しているのですが、どう考えても「喜び」と「楽しみ」がキャラ被りしています。なぜ「喜怒哀」や「怒哀楽」にしなかったのでしょうか。
元が中国語なので、「ひょっとしたら日本語にはないニュアンスがあるのでは」と調べてみたところ、「喜」はそのまま「喜ぶこと」で、「楽」も「喜ぶこと」とまったく同じでした。同義語を重ねることで強調の意を持たせているのでしょうか。ちなみに「怒」と「哀」も調べましたが「怒ること」「悲しむこと」と、どちらも日本語と同じ意味でした。
英語だと「喜」は「Joy」、「楽」は「Fun」と訳せます。どちらもポジティブな言葉ですが、「Fun」には「面白がる」というニュアンスを含むため、「笑える」とも解釈できるでしょう。「Joy」は必ずしも笑いを伴うとは限らないので、この辺が「喜」と「楽」の違いになりそうです。
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ただ、「喜≠楽」とすると「喜びを伴わない笑い」の存在が必要です。「怒り」や「悲しみ」とも同居しない笑いとなると、「嘲笑」や「作り笑い」でしょうか。一気に高尚になったというか、人間的になったような気がします。