
僕が音楽理論を勉強し始めたのは、音楽専門学校に入る何年か前のことです。当時、バークリー音楽大学への留学を志していて、バークリーを卒業した友人たちにインタビューしたところ、「あらかじめ音楽理論を学んでおいた方がいい」とアドバイスをもらったのがきっかけでした。
「勉強しに行くのに、あらかじめ勉強するの?」と疑問だったのですが、バークリーには飛び級みたいなものがあって、事前のテストで成績が良ければ音楽理論の授業を受けなくてもよい、という制度があったのです。本来必修科目である授業をパスすると、その分時間に余裕ができるので練習時間が増やせる、という理屈でした。
たしかに実技(ドラム)と違い、音楽理論を海外で学ぶには英語という障害があります。日本にいるうちに学んでおくのは良いことだと判断し、友人に勧められた本(参考『自分の音楽の好みに大きく影響した10冊の本』)を使って独学で勉強し始めました。最初につまずいたのは「度数(音程)」の項で、「増4度(F♯)と減5度(G♭)って何が違うの?」でした。この疑問に答えてくれたのは前述したバークリー卒の友人で、彼の助けがなければ音楽理論の学習は頓挫していたかもしれません。
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それからしばらくして、「私の音楽に対する勉強は、G♭とF♯の違いを学んだことからはじまった」という、デューク・エリントンの言葉を知りました。かの有名な作曲家も初めは同じスタート・ラインだったのか、と思い知らされます。