電子ドラム

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ドラム・セットを模した電子楽器の一種。ゴムやメッシュで作られた『電子パッド』を叩くことで振動を感知、『モジュール』と呼ばれる端末から音源が出力され、スピーカーなどに接続することで音が鳴る、というのが大まかな仕組みである。ヘッドやシェルの鳴りを電気信号に変えているわけではないので、ドラムの形をしたキーボードとも言える。音源の品質向上や、生ドラム(本物のドラム・セット)とほとんど変わらない叩き心地などの技術的進化はあるが、基本的な構造は数十年経った今でも変わっていない。そのため、「限りなく生ドラムに近い、全く異なった楽器」という扱いを受けることが多いし、事実その通りであると思う。

電子ドラムの利点として挙げられるのは、「誰でも”いい音” でドラムを演奏することができること」「生ドラムと比べて静音であること」がある。”いい音” とクオーテーション・マークなのは、発音されるのが「成型された音源」であり、いわゆる「デジタル臭さ」が抜けないためである。もちろん、デジタルにはデジタルの良さがあるけれど、それなら打ち込みを使った方が手っ取り早い。デジタルとアナログの中間に位置している楽器なのだ。厳密に言うと、「限りなくアナログ寄りのデジタル楽器」か。

静音については、モジュールで音量調節ができるし、他の電子楽器同様ヘッドフォンを使えるので、夜中でも演奏できるかに思われる。たしかに、音源はそれでコントロールできるけれど、生ドラム同様「電子パッドを叩く」という動作は変わらないため、振動の問題は解決しない。特にキック(バス・ドラム)の振動は、部屋の中を小走りしているくらいに響くので、マンションなどの集合住宅では相当に注意が必要である。飽くまで「生ドラムよりも静音」という意味に過ぎないわけだ。

音楽教室に勤めていると、「電子ドラムは買うべきなのでしょうか」という相談を受けることがよくある。櫻井の答えは「必須ではないけれど、あるにこしたことはない」である。前述の通り、電子ドラムは生ドラムではない。よって、どれだけ電子ドラムを叩いても生ドラムが上手くなることはない。生ドラムを上達させるには、生ドラムを叩く以外に術はないのだ。しかし、家で何もしないでいるよりは、スティックを持っている方が良い。というのも、電子ドラムから生ドラムへ適用できるポイントもあるからだ。「電子ドラムを叩いていると、生ドラムの演奏が下手になる」という意見もあるけれど、電子ドラムを叩くことでマイナスになることはない。ただ、電子ドラムを叩いている間、生ドラムの演奏は上達しないので、ゼロではあるかもしれない。

次回へ続く。

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