速弾きに命をかける若者たち

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速弾きとは、音を短い間隔で連続させる楽器奏法の一種。「どのくらいの間隔で、どれだけ連続させれば速弾きになるか」という基準が明確にあるわけではないが、16分音符から6連符、32分音符を中心としたフレーズであることが多い。特にハード・ロックやメタル、フュージョンといったジャンルで頻繁に用いられる、派手でインパクトの大きい奏法である。

10代、20代の若者は、この速弾きを好む傾向にある。速弾きを多用する激しい楽曲を好む年頃であるし、その演奏を可能にする体力的余裕もあるからだろう。「テンポを遅くするとリズムに乗れない」と主張する人もいる。ゆっくりした曲やフレーズが退屈で、速弾きしかしなくなる人もいる。たしかに、速く走れる人が遅く走れるように、速く弾ける人は遅く弾くこともできる。速弾きは悪ではない。どんどん速い曲をやっても構わないと思う。意識すべき点は「速く」ではなく、「弾ける」の方だ。すなわち、「その速弾きは、本当に弾けているのか」である。

弾ける弾けないの基準は曖昧で絶対的なものがないけれど、「聞いている人の理解を得られるような演奏をしなければならない」という責任がミュージシャンにはある。この場合の理解とは知識によるものだけでなく、「よくわからないけれど、すごい」という風な感動も含める。周りの意見に耳を傾け、自分が弾けているかどうか客観視しなければならない。また、自分自身を吟味し続けることも重要だ。「もうこれ以上は無理」「こんなもんかな」と満足したなら、それが今の自分の限界である。それを悔しく思うかどうかで、その後の身の振り方も変わるだろう。

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