本番直前に練習は必要か

演奏前の控室で熱心に練習しているミュージシャンがいるそばで、談笑していたり、雑誌を読んでいたり、スマホを片手に煙草を吸っていたりするミュージシャンがいます。中には「本番ギリギリまで練習するのはみっともない」と考えているミュージシャンもいます。実力が伴わない、見せかけだけの余裕になっているミュージシャンもいますが、練習なしで素晴らしい演奏をしているミュージシャンがいるのも事実です。

僕は、「練習しないで済むのなら、それに越したことはない」と考えています。努力を表に出すのは恥ずべきことですし、余裕を見せて結果を出している方が格好良いと思っています。漫画でよくある「線が細くてニコニコ笑っているキャラクターが実は一番強い」みたいな展開をいつも期待しています。しかし、やはり現実はフィクションと違っていて、練習なしでステージに立てるほど実力はついていないのです。いつか「楽屋でギターを触っていた人が実はドラマーだったなんて!」みたいなことをやってみたいのですが、実現になっていません。

本番直前に練習する最大の目的は、固くなった身体をほぐすための「ウォーミング・アップ」です。ただでさえ本番前は緊張で身体が固くなります。また、身体が冷えた状態で演奏すると腱鞘炎などの怪我に繋がります。ストレッチや準備体操でも身体はほぐれますが、楽器演奏をするための身体は、楽器演奏をすることでしか養われません。どうせなら楽器に触っておいた方が良い、というわけです。少なくとも、「本番前に少しでも上手くなっておきたい」というスキルアップは目的としていません



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「最後の最後まで油断せず、悔いを残したくない」という理由で、本番前に練習している人もいるでしょう。精神的ウォーミング・アップと言ったところでしょうか。将来を見据えて対策を打つのは賢い行動です。ただ、他の人の演奏を聞いたり、共演者と交流を深めて人脈を広げたりするなど、本番前にしかできないことがあります。演奏だけがミュージシャンの仕事ではありません。目先のステージだけでなく、ステージを降りた後の未来を見すえましょう。

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